長い介護生活の終わりはその犬との別れの時・・
「すっ・・と息を引き取りました」「最後は苦しむことなく眠りました」
このような別れが望まれる形かも知れませんが、
例えば病院に入院していたり、苦しみ続けていた場合、
飼い主さんは最後に重大な選択を迫られることになります。
これが本当に最後の選択になるでしょう。
その時が来たらどうするのかを、前もって決めておくことはとても大切です。
呼吸が止まったらどうする?
長い入院生活のさなか、突然呼吸が止まるかも知れません。
息が止まった状態はいわゆる「呼吸停止」であり、「完全な心肺停止」には至っていません。
薬を打ったり、心臓マッサージをしたり、人工呼吸することで息を吹き返す可能性は十分にあるのです。
ここが第一の選択。
「もし、呼吸が止まった場合に蘇生を拒否するのかどうか。」
蘇生をして息を吹き返しても、もしかすると苦しい時間を延ばしてしまうだけかも知れません。
逆に、幸せな時間がまだ長く得られるのかも知れません。
「そんなの獣医が判断してよ!!私たちには分からないわよ!!」
そのお気持ちも分かりますが、獣医も神ではありませんので
息を吹き返した後に果たして幸せを得られるのかどうかまでは分かりません。
「まだ行ける!」と思っても、実際には苦しませてしまったり
「もう無理だろう・・」と思っても、奇跡に復活を遂げる犬も居るのです。
獣医は獣医ですから、何も言われなければ「息が止まれば蘇生」します。
つまり、「蘇生をする」選択は自動的に取られることとなりますが、
「蘇生を拒否する」選択権は飼い主さん側にあるのです。
急に呼吸が止まった際、獣医から「呼吸停止しました。すぐにご来院ください。蘇生は行いますか?」と
問いかけがあるかも知れません。
その時に慌てて混乱してしまう飼い主さんは多いです。
ビーグル獣医は少しだけでも、最後に飼い主さんと犬が顔を合わせることを重要視していますので、
一時的にしか蘇生出来ないような状態であっても蘇生を行いたいところですが、
その最後の顔合わせと苦しみをどう天秤にかけるかは飼い主さんごとに異なりますよね。
長い間大事にしてもらった飼い主さんの選択であれば、犬も納得だと思います。
後で後悔の無いよう、前もって考えておきましょう。
毎日とても苦しんでいたら・・
明らかに毎日耐え続けているだけの状況・・
この子にとって、今生き続けていることに意味はあるのだろうか。
いっそのこと楽になった方がこの子は幸せなのではないだろうか。
呼吸停止とは異なり、その前段階で迫られる選択肢です。
「安楽死をするのかどうか」の問題。
安楽死自体に賛否両論あるかとは思いますが、今後苦しむしか無いような犬に対する安楽死は
一つの重要な選択肢ではないかとビーグル獣医は思っています。
一つの命を終息させる事ですので、この問題は本当に悩みに悩んでもらわなければなりません。
自分も、家族も、犬も・・全員が納得するような選択になっていなければならないです。
おそらく、安楽死を選択するような状況であれば何もしなくても余生は長く無いでしょう。
でも、数日でも数週間でも、苦しむ時間を取り去って静かに息を引き取らせることは出来るのです。
この選択をしたからと言って「犬を殺した!非人道的!」と言われる筋合いは無いと個人的には思うんですけどねぇ。
反対派の方々にこっぴどくお叱りを受ける事があったりするので大変です(汗)
さて、話を戻しますが、ビーグル獣医は
「安楽死を行うのであれば、その瞬間は絶対に見届けてもらう」
ようにしています。
「辛くて見ていられない」
「可哀想で見ていられない」
犬の幸せを願って選んだ方法なのですから、そんな事ではいけません。
気持ちは大変分かるんですけどね^^;
でも、自分たちが考え抜いてその方法を取ったのであれば、最後は看取るべきだと思います。
その子の幸せを願って、最後のお別れをするんですからね。
物理的には獣医が行っていますが、その行為は飼い主さんが行っている行為なのです。
二つの選択についてお話してきましたが、最悪の事態の想定はとても大切です。
いざその時が来て、後悔の残る選択をしないよう、早め早めに気持ちの整理はしておきましょう。
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