血液一般検査の値を病院でゲット!!
・・・だけど横文字は苦手なのよねぇ・・・・
正常値って言われても何が正常なのかわからない!
そんな飼い主さんに、検査項目の一つ一つを解説し、
我が家のペットの異常・正常を確認できるコンテンツです。
1では赤血球関連の項目を説明しますね。
血液一般検査をやる意味って何なの?
血液一般検査はすごいですよ~。
この数値を見るだけで、
・血液疾患を持っていないか ・体に炎症が起こっていないか ・栄養は足りているか ・貧血は起こっていないか |
などなど・・・全身的な健康状態が、おおまかに分かるのです。
決して獣医が「とりあえず患者さん来たし何かしなくちゃ・・」などと
言う理由でやっている検査ではありません(笑)
RBC
RBCって言うのは赤血球の数の事です。
1μℓ(1000分の1mlですよ)の中に何万個の赤血球があるかが分かります。
赤血球の働きは、皆さんご存知のとおり「酸素を運ぶこと」。
数が少ない場合は「貧血」ってことになりますね。
でも数が足りていても貧血な事もあるので厄介です(汗)
その理由は!・・・次週を待て・・・・では無く↓をご覧ください(笑)
Ht・PCV
ヘマトクリットと呼ばれます。
血液の中に赤血球が何%あるか、体積で分かるのです。
赤血球の数が普通でも体積が小さい→一個一個の赤血球が小さいのでは?
赤血球の数が少なく体積も小さい→そりゃあ貧血だろう
赤血球の数が普通なのに体積が大きい→赤血球デカっ!
などなど、赤血球の数が普通でも、まともな赤血球が少ないとなると
これは「貧血!」とせざるを得ないのですね。
赤血球の数が普通で体積も普通でなくてはならないのです。
MCV
平均赤血球容積と言う意味です。
赤血球一個あたりの体積は、平均してどのくらい?というのが分かります。
つまり先ほど説明しました「ヘマトクリット」「赤血球数」の
バランスを一目で確認する事が出来てしまうんですよ~。
赤血球小さいんじゃないの?→MCVは低くなります
赤血球デカッ! →MCVは高くなります
・・・という感じです。
MCV↑(赤血球一個一個が大きくてまともじゃない)→大球性の貧血
MCV↓(赤血球一個一個が小さくてまともじゃない)→小球性の貧血
MCV→(赤血球の大きさは普通だけど数少なっ!)→正球性の貧血
獣医が「小球性低色素性貧血ですね。」なんて難しそうな事を
言っていても、「小球性」の意味はこれで分かりますね~。
Hb
これはヘモグロビンの事です。
赤血球があっても酸素を運べなければ意味ありません。
このヘモグロビンが頑張って酸素を運んでくれるのです。
「鉄分をとらなきゃ貧血になるわよ!」の鉄分は、
このヘモグロビンの元となるものですのでこんな事が言われるのですね。
人間の血液の色、つまり赤色はこのヘモグロビンなのです。
ちなみにナメック星人は緑色なので、違う種類だと思われます。
まとめて言いますと「赤血球の中にある、酸素を結合する色素」。
これが少ないと、酸素は運べなくなりますし、血液の色も薄くなってしまうのです。
MCHC
赤血球中のヘモグロビン濃度はどれくらいか、です。
少なければ「赤血球中のヘモグロビンが薄い」と分かります。
ヘモグロビンは色素ですから、薄ければ「低色素」と簡単に言えますね。
詳しくまとめでお話しましょう。
まとめ~
貧血には色々な種類があります。
その種類を、MCV・MCHCで分ける事が出来てしまうのです。
まとめるとMCVは「赤血球は大きい?小さい?」
MCHCは「赤血球の中のヘモグロビン濃度は普通?薄い?」
では種類別に例を挙げていきましょう!
MCV↑MCHC↓ 大球性低色素性貧血
もう「大球性」も「低色素」の意味も分かりますよね。
これは赤血球がデカくてヘモグロビンの少ない状態です。
例えば出血した場合。
血液が外に出るって事は血液の成分も外に出てしまいます。
でも、血液の量を確保しないと上手く体中に血を流せませんから、
体は血管に水を入れて量を確保します。
そうなると、薄い血液の中に赤血球が居る事になりますよね。
浸透圧の問題で、赤血球の中に水が入ってきちゃうんです。
そうすると赤血球は膨張して、ヘモグロビンも薄くなってしまいます。
「大球性低色素性貧血」の完成ですね。
MCV↓MCHC↓ 小球性低色素性貧血
赤血球が小さく、更に色素も薄い場合です。
例えば慢性の出血。(だらだらずっと血が出ている状態)
血が出て行ってまた作って・・・と繰り返す内に、赤血球を
作る材料が足りなくなってしまいます。
そうなると赤血球は小さいものになり、ヘモグロビンも
不足していますから色素も薄くなってしまいますね。
MCV→MCHC→ 正球性正色素性貧血
普通に赤血球には問題が無いけれど貧血・・・という場合です。
例えば骨髄低形成。
骨髄は血球を作ってくれる部分ですが、ここがしっかりと仕事をして
いないので、新しい血球が必要なだけ作られないのです。
そうなると、赤血球は正常でも数が少ない、
正球性正色素性貧血が起こる原因となります。
MCV↑MCHC→ 大球性正色素性貧血
これはかなり問題です。
そもそも血球を作る部分(骨髄)がおかしい場合に起こります。
出来かけの働けない赤血球があふれている状態なのです。
もちろんこの数値だけで診断は出来ませんが、もし骨髄に異常が
あった場合はかなり厳しい予後になります。
ちょっと難しかったでしょうか・・・
我が家のペットに異常があった部分だけでも、どういった異常なのかを
分かってあげるために使用して頂ければ幸いです。ではでは
↓記事が参考になった!楽しかった!と少しでも思ったら共有して頂けるとビーグル獣医がヒャッホウです↓