今回は猫の「尿結石」のお話です。
オスの猫を飼ってらっしゃる方は特に必見です~。
尿結石は、オスの猫が一生に一回は起こしてもおかしくない
・・と言われる非常に発生率の高い病気です。
猫の病気の10%がこの病気と言われるくらいですから驚きですね。
「FUS」は日本語で「猫泌尿器症候群」
「FLUTD」は「猫下部尿路疾患」と訳され、一般的には
ほぼ「=尿石症」として扱われています。
(正確に言うと尿石症だけを表す言葉ではありません)
現在では「FUS対応フード」として出ているものも多いですよね。
ではこの「FUS」、どんな原因で起こるのでしょうか。
尿石の原因 水分不足
まず、「水分不足」が挙げられます。
猫は、ただでさえ尿が濃い動物です。
尿が濃いというのはつまり・・・例えば犬の尿の
二倍の濃さの尿を出すとすると、二倍の量の老廃物が
同じ量の尿に入っているって考えられますね。
そこまで濃縮して尿を出す動物なのです。
これが結石が詰まりやすい原因になっています。
更に、オスの尿道は長くて、ペニス内で尿道に
狭いところがあるため、より危ない詰まり方をすることが多いんですね~。
尿石症の原因 食べ物
次の原因は食べ物
結石は何から作られるか・・・
それはマグネシウムやカルシウムから作られているんです。
特にマグネシウムに注意です。
つまりは「塩分」ってことですね。
塩分の濃い種類のドライフードや人間用加工物、猫まんま、
とにかく猫にとって塩分が多い食物は、
この結石の原因になりますので避けましょう。
尿石症の原因 尿のpH
それと尿のpH。
これはどういうことかというと、元々肉食だった猫の尿は酸性尿です。
結石の原因であるリン酸アンモニウムマグネシウム(ストラバイト)は、
酸性では溶けますが、アルカリ性では溶けないと言う特徴を持ちます。
なので、酸性の尿であれば溶けたまま、尿と一緒に出てくれますが、
アルカリ性の尿になると「結石」となってしまうのです。
尿がアルカリ性になる原因は、食事の種類と量、回数、そして細菌感染です。
体質でなりやすい子ももちろん居ますので、そういった子の場合や
一回結石になった、再発の可能性のある子などは
pHコントロール(維持用)などの処方食 を普段からあげることをお勧めしています。
また、細菌感染は尿の回数が減ると起こりやすくなりますので、
やはり水が関係しているんですね。
尿石症の原因 その他
先ほど軽く触れましたが、肥満、環境、遺伝、性格も原因になります。
環境とは、「トイレが汚いため、やむを得ず我慢する」などが良い例ですね。
遺伝としてはペルシャ猫、そしてその系統の猫に起こりやすいです。
性格、これは「我慢しやすい」猫などがそうだと思います。
飼い主に分かる症状は?
・結石が詰まっていて、尿をしたくても尿が出てくれないので、頻繁にトイレに行きます。 ・何とか出そうと、トイレできばったりします。 ・尿がぽたぽたと少量ずつしか出なかったりします。 ・尿に血が混ざることがあります。 ・お腹を痛そうにして元気がなくなることがあります。 |
以上が飼い主さんが見つけることの出来る症状ですね。
だいたい食欲不振も同時に起こることが多いです。
これらの症状を放っておくと、やがて嘔吐をすることがあります。
こうなってしまうとかなり危険です。
尿が溜まったままになる→膀胱炎→腎炎→尿毒症と
発症している可能性があるからです。
尿毒症というのは、まともにアンモニアを解毒できなくなり
(解毒していないアンモニアは非常に毒です)それが脳にも
血液経由でまわって、神経症状が出てしまうものです。
尿毒症は致死率が極めて高いですからね。
飼い主の皆さんが出来る予防法!
こんなに恐い話をした後ですから、もちろん予防法は気になりますよね。
では列挙してみましょうか。
・新鮮な水、飲みやすくした水をいつも絶やさない ・フードを考えて与える(特別療法食、または缶詰フード) ・毎日の尿量や水の飲む量を観察しておく ・寒い環境には置かない(水を飲まなくなりますね。) ・いつでも尿をしやすい環境を作る(トイレはいつも清潔に) |
だいたいこんなところでしょうか。
マグネシウム中心にお話してきましたが、実は尿石を起こす
もう一つの原因にカルシウムがあります。
ヨーグルト、牛乳、アイス、チーズなどを食べさせ過ぎると、
このカルシウムの結石の原因になりますので、あげすぎには注意しましょう。
(このカルシウムの結石は、酸性尿でも溶けません)
↓記事が参考になった!楽しかった!と少しでも思ったら共有して頂けるとビーグル獣医がヒャッホウです↓