猫の甲状腺機能亢進症(パセドー氏病)

 

年を取った猫に多い病気、甲状腺機能亢進症についてお話しましょう。

甲状腺。
名前は聞いたことあるんじゃないでしょうか^^;
ここからは、あるホルモンが出ています。

 

 甲状腺ホルモンについて


ホルモンとは、体に指令を出す物質です。
発情、糖の吸収、エネルギーの代謝、成長など、
ホルモンは体にとってものすごく大事なんです。

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンという、
主に「代謝」をつかさどるホルモンが原因です。

甲状腺ホルモンをもっと詳しくすると
「エネルギーを使う」「体温を上げる」「心臓の機能を高める」
などの指令を出しています。

 

 さて、甲状腺機能亢進症とは


甲状腺機能亢進症とは、この甲状腺ホルモンが
多く出るようになってしまった病気
です。
つまり、多くエネルギーを使って、体温を上げて、心臓を活発に動かします。

「これがどうしていけないことなの?」と思いますが、
こういった指令を多く出し続けるとどういうことが起こるでしょうか・・・・

早く老化して早く死んでしまいます。
代謝が上がりすぎて、燃え尽きてしまう病気なんですね。
ではもっと詳しく、症状や治療法について説明しましょう。

 

 症状


たくさんのエネルギーを使いますから、たくさん食べるようになります。
そして、同じくたくさんのエネルギーを使いますから痩せます。
更に、エネルギーをたくさん使ってますから活発になります。
心臓を活発にしすぎて、心臓が疲労します。

進行が進んでいくと、だんだんと胃腸が弱ってきたり(嘔吐・下痢)、
筋肉が衰弱したり、毛の光沢がなくなったり・・・

進行が進んだ段階では「病院に連れていこう!」と
思うような症状を出すのですが、最初の段階では
「元気なかんじ」にしか見えなくて病院に連れていこうと思いません。

10歳を超えた猫が、急に「よく遊ぶようになった」だとか、
「よく食べるようになった」という場合は、
充分にこの「甲状腺機能亢進症」が考えられます。
猫を飼ってらっしゃる方は、頭の片隅に入れておいてくださいね。

 

 検査


まず猫の痩せ具合や状況の説明を聞きます。(食べてるのに痩せるなど・・)
その後、猫の体を実際に触ってみます。

実はこの病気の原因は、甲状腺の腫瘍であることが多いのです。
(といってもほとんどはガンではありません。)。

腫瘍は細胞が増え続けてしまうことですから、
甲状腺の細胞が増える=甲状腺ホルモンの作られる量が増える
ということですね。

そして血液の検査。
血液の中の甲状腺ホルモンの量を調べるのです。
9割方は、この検査で診断が可能です。

そして、病状がどのくらいかを調べる検査に移ります。
心臓の異常を調べるために心電図、超音波、レントゲンを使います。
この病気では、血圧が上がることが多いので(8割程度)、
血圧の検査も同時に行います。

 

 治療法


甲状腺の働きを抑える薬

・メルカゾール

・チアマゾール

・チウラジール

・プロピルチオウラシル

・プロパジール  など・・・

甲状腺がたくさんホルモンを出さなければ良いですよね。
ですので、甲状腺の活動を抑える薬が使われます。

 

手術で甲状腺をとってしまう

この病気は先ほど説明した通り、腫瘍であることが多いので、手術で取ってしまいます。
あくまで年も取っていることが多いですから、可能であれば・・・です。

 

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