犬の子宮蓄膿症

 

避妊手術をしていない中・高齢期の犬で多い病気です。
さて、どんな病気なのでしょう。

 

 子宮蓄膿症はどんな病気?


子宮に膿みが溜まる病気ですね。
細菌は膣を経由して、子宮に入っていきます。

膿みは細菌をやっつけた白血球たちが戦死した姿です。
一生懸命細菌を倒せば倒すほど、白血球の死骸も増え、
白血球を称えたいところなのですが、ちょっと厄介な膿みとなってしまいます。

 

 どんな症状が見られるの?


子宮に膿みがたくさん溜まっているので、膿みが膣から漏れ出す事があります。
しかし、子宮の入り口がしっかり閉じてしまっている子も
30%近くいまして、その場合、膿みはもちろん出てきません。

また、細菌感染していますので発熱が出る場合(全体の3割くらい)、
細菌の毒素のせいで下痢・嘔吐・食欲不振・他の臓器の異常など、
様々な症状が見られます。

そんな中でも腎臓がおかしくなる事によって、たくさん尿を出し、
ガブガブ水を飲む、つまりは「多飲多尿」の症状は特徴的です。

ちょっと年をとったメスのワンコが突然ガブ飲み体質になった時は、
糖尿病かクッシングか子宮蓄膿症あたりを疑いましょう。

 

 どうして起こる?細菌感染


犬の性周期が関係しています。
メス犬は、およそ七ヶ月の周期で発情が繰り返されますが、
その中でいわゆる「精子待ち」の時期があります。

「入ってきた精子は逃がさない!」その精神から、子宮の動きが
緩やかになり、細菌の排出も緩やかになってしまいます。
ということは、細菌にとって増殖のチャンスですね~。

また、オスの精子を「異物だ!」と認識してやっつけては困りますから、
免疫機能を低下させるように体が作動します。
もちろん、これも細菌にとって増殖のチャンスなのです。

 

 膿みが溜まり続けたら・・・・


破裂します。
つまり、膿が排出されないタイプの方が危ないってことになりますよね^^;

破裂すると、細菌はお腹の中に飛び散りますので、
腹膜炎やショックにより死亡したり、全身に毒素が回り
様々な臓器が障害を起こしたりと大変危険です。

 

 治療は?


基本的には手術で摘出します。
薬物による、内科的な治療法もありますが、薬剤の副作用で
逆に子宮を破裂させてしまったり、細菌を完全に消す事も難しく、
更には再発しやすい為、獣医イジメな治療となります(汗)

治療の基本は早期発見早期治療(どの病気でもそうですが)。
遅くなってしまうと、全身に毒素が回ってしまい、手術が難しい状況に
なったり死亡してしまったりと危険です。

死亡数も少なくない病気ですので、避妊をしていない犬は
定期的に調べてもらいましょう。

 

 予防は?


特別繁殖などの目的が無い場合は避妊しましょう。
乳腺腫瘍など、他の疾病の発生率も下げる事が出来ます。

 

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