犬猫に多い中毒とその薬

 

犬を飼っていると、思わぬところに
中毒を起こす物質があるわけです。
これは是非覚えておいて欲しいですね~。

中毒を起こすものを置かなかっただけで命が助かったりするんですよ?
ちょっと目を通しただけで、結構目につく中毒が多いので
是非この機会に覚えてくださいな。

人間でもそうですけども、「中毒起こしそう・・」なんてものは
元から近くに置かないんですよね。

ただ、知識が足りないと「これは大丈夫だろう」というもので中毒が出てしまう・・
えー!それも中毒起こすんだぁ~!!というものがあるかも知れませんね。

では犬でよく見られる中毒について見ていきましょう。
ちなみに薬のカテゴリに入れたのは治療に薬を使うものが多くあるからです。
この機会に薬も説明してしまおう!って訳ですね。

 

 玉ねぎとニンニク


これはもう・・「玉ねぎをあげちゃダメな理由」を見てくださいな。
ニンニクも同じ物質が入っているんです。

ショックを起こした時はその対処をすることになります。
ショックについては他のページで紹介しますね。

 

 チョコレート、コーヒー、コーラなど(カフェイン中毒)


人間と同じ計算式で、中毒量が分かります。
体重1kg当たり150mgです。
ちなみにコーヒー一杯100mg、コーラ一杯60mg、
ココアが5mgでチョコレートは板チョコ一枚で150mg
くらいです。

なんだ~全然大丈夫じゃんか~・・・ってそれは危険です!
体重2kgのチワワを飼ってたとしますと、
蓋の緩んでたコーラのペットボトルが倒れて、
中身が1リットル残ってて全部飲んだら・・しっかり中毒量ですよ~。

コーヒーもそうですが、犬は元々甘い味が大好きです。
犬によってはもっと少量で中毒を起こすこともありますので、
カフェインを含むものは置いておかないように気をつけましょう~。

 

 腐敗した食べ物


なんか・・・想像するだけで吐き気がしますが・・・(汗)
腐敗した食べ物には細菌がたくさん含まれています。
細菌がいるから腐るわけですので当然と言えば当然なのです。

特に夏場や梅雨時なんかは気をつけたほうが良いですね。
細菌にとっては絶好の増殖時期となります。
そんなものあげない!!と言ってもゴミ箱をあされば
いくらでも出てくる
かも知れませんよ~。

 

 タバコ


ニコチンを採りすぎると神経が正常に働きません。

タバコを置いておかないのはもちろん、最近では
禁煙のためのニコチンガムが危険です。

1~4時間であればまだ胃に残っていると思われますから
嘔吐させたり、胃の洗浄をしてやることで治療します。
また、ニコチンが作用できなくするアトロピンという薬を解毒薬として使います。

 

 

 殺虫剤、農薬


これはどんな動物でも有害ですね。
これはニコチン中毒と似たような症状を起こします。

アセチルコリンという物質が体では働いているのですが、
これと似た作用をニコチンは持っています。

アセチルコリンは神経の情報を伝えたり、
筋肉を動かしたりと大切な物質
です。

ニコチンはこれと似たような作用をして神経や筋肉を異常にしますが、
殺虫剤や農薬に含まれる有機リンは、
アセチルコリンを分解できなくする
のです。

分解できなければ、ニコチン大量摂取と同様
神経が正常に働けなくなってしまいますね。
実は自殺にも使われることが多い物質となります。

神経や筋肉が動く時には、アセチルコリンを出して、
使い終わったら壊して、また作って出して壊して、
と言う方法を行っていますので、壊れなくなったら
どんどんアセチルコリンがたまっていってしまうのは当然の事でしょう。

治療にはニコチンと同じくアトロピン(他ジフェンヒドラミン、ジアゼパムなど)
を使ってアセチルコリンが作用できなくします。
ニコチンとアセチルコリンは同じ順序で作用しますので、
ニコチンを働けなく=アセチルコリンも働けなく出来るのです。

また、アセチルコリンを分解する酵素から有機リンを強制的に引き離す、
2-PAMが解毒薬として使われます。
そうすれば正常にアセチルコリンが分解出来るようになります。

 

 殺鼠剤(ネズミ捕り)


殺鼠剤にはビタミンKに似た毒物が入っています。
これを間違えて食べてしまうとビタミンKの代わりにその毒物が
働いてしまって、実質ビタミンKが働いていない状態になります。

ビタミンKは止血に重要な物質ですから、全身がひどく出血症状をだします。
殺鼠剤自体を食べなくても、殺鼠剤で死んだネズミを食べて
この中毒を起こしたという話もあります。

治療はビタミンKを大量に与えることです。
毒物をどうにかするのではなくて、量で
似たような毒物に打ち勝とう!ってことですね。

 

 砒素(ひそ)


和歌山カレー事件で有名になった毒物、砒素です。
除草剤、落葉剤、殺鼠剤、殺虫剤、他、材木の防腐剤なんかにも含まれています。
砒素は皮膚でも粘膜でも呼吸でも吸収されてしまう危険な物質です。

細胞の呼吸を止めてしまうので、あらゆる細胞が動けなくなってしまいます。
もちろん症状も腹痛から始まって痙攣、嘔吐、下痢、出血、ショックなど重篤です。

解毒剤としてBALという薬を注射します。
この薬は体の中で砒素とくっついて、砒素が作用できなくする薬です。
他にもペニシラミンという薬を使ったりします。

 

 酸やアルカリ性の物質


強力な酸やアルカリは食道や胃をひどく傷つけます。
これをペットが飲んでしまった時にはただちに洗浄してしまいたいところですが、
洗浄や吐かせると穴を開けてしまう危険性があるために基本的にはやりません。

水やミルク、とにかく飲み物で薄めようとします。
しかしながら限度があるものですので、これらの物質はとても危険です。

酸性のものにはトイレの洗浄剤など
アルカリ性のものでは乾電池、漂白剤など、身近なものが結構あります。

 

 梅や杏の種


シアンという中毒物質が含まれています。
シアンは全ての細胞の呼吸を出来なくしますので、
細胞が機能しなくなりますね。

解毒薬にはチオ硫酸ナトリウムを静脈から投与しますが、効果は薄いです。

 

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