犬の疥癬(犬のヒゼンダニ症)

 

疥は「はたけ」、白い粉をふいたように見える皮膚の病変。
癬は「たむし」、丘疹や小水疱が集まって円形をなす皮膚病変。
ヒゼンは「皮癬」、疥癬と同じ意味を持ちます。

「疥癬」は一般的にヒゼンダニによる皮膚の病気です。
ヒゼンダニ→「疥癬のダニ」ですから、当たり前っちゃあ当たり前です(笑)

 

 とにかく痒いです


疥癬の特徴はとにかくその痒み。
非常に痒がるので、すぐに飼い主さんは分かる病気ですね。

病変としては、皮膚柔らかい部分に見られる赤いポツポツ、
白い膿疱、脱毛などなど・・・

あまりの痒さに皮が剥けてしまったり、
体重が減ってしまう事もあります。
放っておいたり悪化すると、全身に拡がります。

どうしてこんな病変が見られるのでしょうか。

 

 疥癬の虫の進み方


ヒゼンダニはまず、角質に入り込もうとします。
ダニの考えとしては「柔らかい所の方が楽に入れるんだよなぁ・・」
なので、皮膚の柔らかい部分、肘や踵、耳の先端などを狙ってきます。

続いて、疥癬トンネルと呼ばれる穴を掘りながら、
卵を少しずつ、時間をかけて産み落としていきます。

卵が孵化すると、幼虫は外に出てきて、成長して、
また交尾→メスは角質層に入り込んで・・
ガンガン増えていきますね。

もちろん上記の進行は、交尾をしたメスに限ります。
卵産めませんからね(笑)
オスや未交尾のメスの場合、角質に潜り込むだけで終わるようです。

 

 疥癬の発症まで


ダニの分泌物に対する過敏症が、疥癬の主な原因です。
つまりアレルギーが起こってしまいます。

このアレルギーは遅く発症するアレルギーで、感染から発症まで
長い場合は3~6週間くらいかかることもあります。

発症までが遅くても、感染はとっくに終えている訳ですから・・・
「発症待ち」のその時期にもガンガン、ダニは増えています。
この時期が一番、他の犬や人間に移しやすい時期となりますね。
だって感染しているかどうかも分からないですもんね~。

遅いアレルギーとは言いましても、一回感染した子ですと、
次回の感染は早く反応したりします。

 

 診断の落とし穴


病歴や症状からしばしば、暫定的ですが診断がされます。
確定診断はダニを見つける事です。

ダニを見つけるといっても相手は角質層に入り込んでいますので、
発見するには皮膚を削らなければいけません。
その後顕微鏡で確認する訳ですが、その採取した場所に
たまたまダニが居なかったらどうでしょう(汗)

通常は数箇所から削る事で、発見の可能性を上げますが、
それでも見つからなかった場合・・・・
さて、どうなるでしょう。

 

 類症鑑別


疥癬は、真菌による皮膚炎や、ノミアレルギー性の皮膚炎、
それにその他アレルギーによる皮膚炎などと似ています。

つまり、ダニが見つからなかった場合、これらの方向を
考えていく事になりますよね~。

そしてノミの可能性も無し、真菌も見つからず。
さて、そうなるとその他のアレルギーが疑われる訳です。
(まあなかなかそこまで長期で見過ごす事も無いとは思いますが)

アレルギーによく使われる薬は何でしょう。
そう、ステロイドが挙げられます。

もし発見出来ず、アレルギーだと診断してしまい、
自分の余計な炎症を抑えよう!とステロイドを使うと・・・・
ダニの思うがままですね(汗)。大繁殖決定です。

中にはダニの検査もせずに、皮膚炎→ステロイド?のように
治療を始めてしまう獣医もいますのでそこは注意ですね。

 

 

 治療法


まず疥癬の子、それに加えて一緒に暮らしている子や
その周囲環境全てから駆虫
することです。

治療は薬用シャンプーと薬浴、注射投与が一般的で、
それでも効果が少ない場合、経口薬の投与が行われます。
効果は皆さんの予想通り(笑)、注射の方が強いです。

さて、飼い主さんの勘違いに関する注意が二つ。

「殺ダニ剤を使ってもらって症状がすっかりよくなったわ!
もう病院行かなくても大丈夫ね!」

殺ダニ剤ですが・・・・幼虫や成虫には効果があっても
卵には効果がありません。

卵が残っているのに、治療をやめてしまうと・・・・
もちろん徐々に成長して幼虫、成虫となりますね。
そうなるとまた治療を始めなければなりません。

「なんで注射してくれないの!?早く治したいのよ!」

注射はですねぇ・・・仔犬や交雑種(コリー、シェルティーなど)
にはちょっと強すぎるお薬
なんです。
また、フィラリアも殺してしまいますので、
フィラリアの感染が無い事が前提になるのです。

 

 疥癬の雑学


疥癬はものすごく強い危険な病気に見えたと思いますが、
実はヒゼンダニは結構ひ弱。
動物にくっついていないと1日前後で死亡します。

この事から感染がどうやって起こるか想像出来ます。
直接接触することが、一番の感染原因ですよね。

また、免疫が弱ければ、ダニは大繁殖しやすいです。
仔犬や老犬、病弱な子の場合は特に気を使いましょう。

 

 疥癬の予防法


衛生面に気を配りましょう。
また、野良猫からの感染、感染犬との接触を避けるため、
ノーリードで単独散歩させるなどは避けましょう。

フロントラインのフィプロニルなど、防ダニ剤も有効です。

 

 疥癬の質問集


Q.人に移りますか?

A.余裕で移ります。10~50%。特に老人や赤ん坊は注意です。

Q.動物病院に来たら、診察後どうしていますか?

A.次の患者さんに10分ほど待って頂く事になります(苦笑)

Q.使っていたマットなどはどうします?

A.焼却処分しちゃいましょう。50度10分の熱処理でもOKですが。

 

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