猫も人間と同じで「糖尿病」があります。
この「糖尿病」、どういった病気なのかと治療法を少し勉強しましょう。
糖尿病について
猫にとっても「糖」は重要なエネルギー源です。
この糖は、食べ物→腸で吸収→血液
→糖を欲しがっているところ、と運ばれます。
この内、糖を欲しがっているところに血液から糖を運ぶ
役目をしているホルモンが「インシュリン」と呼ばれるものなのです。
インシュリンが作られなくなったり、インシュリンが働けるような
環境が壊れてしまっていたらどうなるでしょう。
そうです。糖が体の必要な部分に運ばれなくなってしまいますね。
そして血液の中の糖は、体に運ばれることがないので
血液の中に溜まってしまいます。
つまり「血糖値」が上がるのです。
この「血糖」はあまりに濃くなってしまうために、
尿に糖が出てきてしまいます。
これが「糖尿病」なのです。
猫の糖尿病が難しい理由
猫の糖尿病は犬のものとは大分変わってきます。
「血糖値が高い」=糖尿病とは判断できないところです。
猫は興奮、特に病院などストレスのかかる場所では
興奮状態になり、一時的に血糖が上がることがあります。
この興奮状態が原因の高血糖に対してインシュリンをあげてしまうと、
非常に危険な低血糖の状態になることがあります。
正常な体にインシュリンを入れてしまうわけですから、
血液から必要以上に糖が運ばれてしまうのです。
そして、猫の糖尿病は、なかなか分かりにくいことが多いです。
つまり隠れて進行していき、徐々に猫を蝕んでいくんです。
このように猫の糖尿病は犬に比べて難しい診断、
治療となりますので、出来るだけ経験豊富な獣医に、
そして知識を身につけておきましょう。
どういった糖尿病の種類があるのか
・インシュリンが作られなくなってしまい、血糖が上がっていく糖尿病。
・肥満が原因で起こる、インシュリン投与が必要でない糖尿病(全体の30~50%)
・すい臓(インシュリンを作るところ)のストレスで起こる一過性の糖尿病
があります。
それぞれの特徴と治療方法について考えていきましょう。
インシュリンが作られなくなった場合
これは犬の糖尿病と同じです。
インシュリンの注射を食事の時に打ってあげることによって、
高血糖を防げ、エネルギーを体全体に運ぶことが出来ます。
肥満が原因の糖尿病
肥満を解消すると改善に向かいます。
なので治療方法は主にダイエットになります。
ダイエットと血糖降下剤という薬でなんとかなる場合も多く、
インシュリンの投与が低血糖の原因となるだけのような場合もあります。
とにかく、ダイエット!ということです。
太りすぎは他の病気も色々と引き起こしますからね。
すい臓のストレスで起こる一過性の糖尿病
そのまま、すい臓のストレスによって糖尿病が一過性に起こることです。
この場合でもインシュリンが必要なことがあります。
しかしながら、一過性ですのでインシュリンの量を考えながら与えなくては、
低血糖を突然引き起こす原因となります。
治療方針が難しい種類の糖尿病です。
どうやって診断するか
診断の材料としてフルクトサミンの測定があります。
このフルクトサミンは約1~3週間前の平均血糖値が分かるもので、
興奮による高血糖などに対して影響を受けません。
この測定を利用して、インシュリンの量を決めたりしていきます。
低血糖に注意しましょう
インシュリンの打ちすぎなどが原因で低血糖を引き起こすことがあります。
症状としては震え、昏睡、運動失調などで、糖尿病のネコちゃんの
様子が急変したらまず低血糖を疑った方がいいでしょう。
この低血糖は非常に危険な状態で、最悪死につながります。
対処としては「糖を与えること」。
まだ「食べる」ことが出来る状態では
おいしいフードでもなんでも食べさせてください。
食べることさえ出来ない状態であれば、蜂蜜やシロップ、
ブドウ糖、砂糖、なんでもいいので口の中に塗りつけます。
決して無理に突っ込んだりはしないようにしてください。
病院に急いで連れて行こうとする方がいらっしゃいますが、
まずは糖分の補給が先です。
連れてくる途中で亡くなってしまった猫もいます。
インシュリンでの治療をしているネコちゃん全てに、
この危険はありますので、糖尿病のネコちゃんの飼い主は
常に緊急時の糖分補給準備だけはしておいた方がいいでしょう。
インシュリンの打ちすぎによる高血糖
インシュリンを打ちすぎても高血糖を示すことがあります。
体はいつも血糖値がバランスよく保たれるように
色々なホルモンが働いています。
インシュリンが多くなると、他のホルモンが
今度は血糖を上げようと働くのです。
この高血糖は偽者の高血糖なので、もちろん、
この高血糖でのインシュリン投与はしてはいけません。
この高血糖の特徴は、猫が一時的に元気になること。
また、高血糖が長く続かないことです。
この場合以外でも飼い主さんの判断でインシュリンを
増やしたりすることは絶対にやめましょう。
猫の命を脅かすことになります。
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