猫の悪性リンパ腫

 

悪性リンパ腫は猫に一番多いガンで、
猫の飼い主さんは是非知っておいた方が良い病気でしょう。

 

 リンパって?


まず、リンパというのはどういったものでしょう。
これはリンパ球と呼ばれる免疫に関係する血球や、リンパ節、
脾臓、肝臓、消化管、骨髄
などの組織のことを言います。

つまり、これらの組織がないと体を守ることが出来ないんですね。

これらの場所の細胞が増えまくってしまう病気、これがリンパ腫なんです。
しかもこうして増えまくった細胞は、実際の機能を果たせませんので、
免疫には何の役にも立ちません。

では、悪性リンパ腫の原因から治療までを考えてみましょう。

 

 悪性リンパ腫の原因


多くは猫白血病ウイルスが原因だと言われています。
また、このウイルスがリンパ腫を引き起こすことは明らかになっています。
他には猫エイズウイルスにかかっている猫も発症の危険性は高いといえるでしょう。
他のガンのように、自分の細胞がガン化して起こることもあります。

ウイルスに感染している猫は若齢(平均3歳くらい)で発症し、
ウイルス以外では老齢での発症が多いです。

 

 悪性リンパ腫の種類


腫瘍が出来る部分によって、いくつかの種類に分けられます。

消化管
もっとも多くみられるのが、この消化管のリンパ腫です。
消化管が異常になりますから、嘔吐、下痢、食欲低下、
体重の減少などが起こります。

 

腎臓
腎臓に出来ることも多くあります。
この場合は腎不全と同じような症状が見られます。

 

骨髄
骨髄だけに起こっている場合、一般的には白血病と呼ばれます。
「白い血液の病気」の名前の通り、赤血球、白血球、血小板
などが減って、血液が薄い状態になります。
赤血球が減りますから貧血が起こり、白血球が減りますから
感染しやすくなり、血小板が減りますから出血しやすくなります。

 

縦隔
胸にあるリンパ組織にこの腫瘍が起こります。
腫瘍が大きくなったり、胸に水が溜まってしまい、
肺が圧迫されて呼吸困難が見られることがあります。

 

外部リンパ節
ごくたまに見られます。
ネコちゃんの調子が悪い、または飼い主が体に腫れている
ところを見つけて、病気を発見することがあります。

 

 

 悪性リンパ腫の診断


リンパ腫に限らず、腫瘍の診断ではその腫瘍が何の細胞から
出来ているのかを調べる必要があります。
つまり、その腫れの一部を採って顕微鏡で調べます。

しかしながら、出来た場所によって、診断が簡単な場合と難しい場合があります。
(簡単に採れるか、難しいか・・ですね。)

リンパ腫が疑われた猫について、腫瘍はどのくらいの大きさか、
転移はしているか、全身状態はどうなのか、猫白血病にはかかっているか、
などを検査します。

転移については超音波やレントゲンなどで、
転移の起こりやすい場所をしらみつぶしに調べます。
更に一般的な検査なども交えて、これからの治療方針を決めていきます。

 

 悪性リンパ腫の治療


リンパ腫の治療では、一般的には化学療法、いわゆる薬での治療をします。
その理由は、リンパ腫には薬がよく効くからです。
この薬による治療で、約60%以上のネコちゃんに体調の改善が見られます。

まずこの時点で、治療をする意味がありますよね。

しかしながら、体調が良くなってきても、隠れたガン細胞が
体のどこかに存在している場合があります。
このことも考慮して、体調が改善しても抗がん剤は続けていきます。

約一年半ほどを目安に治療を続け、体調の良い状態が
それでも維持されていた場合に初めて治療を中止します。

しかしながら、この時点まで頑張れる猫は、
悲しいことに約1割程度です。
つまり他の猫は亡くなってしまいます。

ちなみに治療なしの場合、悪性リンパ腫では
一、二ヶ月で亡くなることが多いです。

また、一度治療を中止して、再発した猫については
薬の種類を変えたりして治療をしますが、体調が回復する
可能性は低く、副作用のリスクも高まります。

最後に薬の副作用について。
起こることは起こりますが、危険な副作用を示すのは全体の1割弱です。
その場合は薬の種類を変えて治療を行うことになります。

副作用の症状は、嘔吐や食欲低下、下痢、感染症、疲労感などが主なものです。

 

 予防について


猫白血病が一番多い原因ですので、その対策をします。
まずワクチンですね。
しかしながらワクチン誘発性腫瘍と呼ばれるものがあるので注意が必要です。
つまり、ワクチンを打ったせいで、腫瘍が出来てしまいます。

これが起こる可能性は0.01%~0.1%くらいで、
ワクチンを打たなかった場合に感染している猫の割合が3~5%。
どちらを選ぶかは飼い主さん次第ですね。

現在も開発が進み続けているワクチンですので、
危険性は徐々に下がってくると思います。

そして、他の方法としてはウイルスとの接触を避けること。
この猫白血病ウイルスは唾液、尿、涙、母乳、血液から感染します。

つまり、たくさんの猫を飼っている場合は
他のネコちゃんが感染していれば、感染する可能性は高いです。

また、外で他のネコちゃんとケンカしたりして感染することもあります。

つまり、感染を完全に避けようと思ったら、白血病ウイルスを持っていない
親から生まれた猫を全く外にださないように飼うことですね。

 

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