さあ!国家試験!・・・の前日 友人思い?のビーグル獣医とバスローブ

 

 

6年間の長~い勉強期間を終え、いよいよ迫る国家試験。

獣医学生のほとんどは、受験会場の近くのホテルに総泊まり状態で、
その数おおよそ100人くらい。
ホテルからはモヤモヤとした、何やら霊気のような物が噴き出し、
近くを通りかかった人さえも鬱にします。

ビーグル獣医も霊気を出しながらホテルに泊まっていた一人ですが、
気の小さいビーグル獣医はなかなか寝付けずに居ました。
寝ようとすればするほど、襲ってくる不安と恐怖(汗)

試験に落ちたら人生が終わるかのような錯覚にも陥ります。
獣医師国家試験の受験生の多くはこの状態を体験する訳ですが・・・
隣の部屋の、私の友人はちょっと違いました。

グごぉぉぉぉぉ・・・・ぐふぅ・・・・・があぁぁぁぁぁぁ・・・

凄まじいイビキをかいて寝ています(汗)。うらやましい。
しかし、そんな羨ましい彼に異変が起こります。

グごぉぉぉ・・・・ガあぁぁぁぁぁ・・・・・ガッ!!ガッ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

止まった!!!???
あからさまに睡眠時無呼吸症候群と思われる止まり方で、
彼のイビキ、もとい呼吸が止まったのが分かりました。

「獣医学生、国家試験直前ホテルで死亡 過労が原因?」

そんな新聞の見出しが私の頭をよぎります。それはマズい。

ビーグル獣医は何故か着ていたバスローブ姿のまま、
彼の部屋へと急ぎました。

「大丈夫か!!!おい!!○○くん!!おーい!!」

必死で部屋のドアをノックするビーグル獣医。
その時・・・

ぐごぉぉぉぉ・・・・・があぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・

イビキが復活。
ああ・・・良かった・・・・息を吹き返した・・・

さあ、部屋に戻って寝よう。
と、思ったビーグル獣医でしたが、ある事に気が付きます。

カギが無い

もちろん、こんな時に限ってホテルのドアはオートロック。

寝付けずに廊下やフロントで夜を過ごす学生たちの中を、
バスローブ姿で颯爽と通り抜けるビーグル獣医。

「おぉ・・すげえな・・・余裕だな・・・」

そんな声が聞こえたのは気になりますが、何とか受付に到着。
予備のカギを貰って帰ろうとしたのですが、ふと横に目をやると、
届いたばかりのスポーツ新聞数部と「ご自由にどうぞ」の札が。

おお、ナイスサービス。
気分転換に良いかも知れないので、もちろん持っていくビーグル獣医。
こういった無料サービスには目がありません。

と、更に横に目をやると、コーヒーメーカーと「ご自由にどうぞ」の札が。
もちろん頂くビーグル獣医。やっぱり目がありません。

しかし、ここで自分の犯した間違いにやっと気付きます。
バスローブ姿にコーヒーとスポーツ新聞
とてもじゃないですが、人生に関わる重大な試験を
直前に控えた者の恰好ではありません。

より盛り上がるヒソヒソ話を尻目に、部屋に到着。
コーヒーと新聞と、夜明けといびきに囲まれながら
ビーグル獣医は試験本番を迎えたのでした。

 

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