犬の胃拡張・胃捻転症候群(GDV)

 

サイエンスダイエットの訴訟問題で一時期、
胃捻転・胃拡張症候群(GDV)が話題になったことがありました。

このGDVとはどんな病気なのかについてまずはお話しましょう。
その後にサイエンスダイエットについてのお話もしますね。

 

 GDVってどんな病気?


大変急性の病気です。
発生すると一秒一秒刻々と悪化していきます。

大型犬に起こりやすい病気で、胃がねじれてしまいますので

・その部位の血管が止まってしまう
・胃の中身の行き場所はなくなりますので、発酵してガスが発生(胃が拡張する)

というのは想像つきやすいのではないでしょうか。

 

 GDVの原因


大型犬に起こりやすいのは、腹が深いので胃を支えている靭帯が
伸びてしまいやすいからだと言われています。
年を取ると発生率が上がるのも、これなら証明出来ますね。

ドライフード大食いして水を飲んで、急激に運動しての発生が多い
です。
そんな事をしたら、人間でもお腹がおかしくなると思います(笑)

はっきりと原因は解明されていませんが、

・ドライフードが水を含んで重石のような役割となってしまう
・胃の運動が急激に強くなり、クルンと回転してしまう

などが原因の候補とされています。
・・・・と言うか、そんな事はさせないであげてください(汗)

その他、怖がりな子の方が落ち着いた子よりも発生率が高いです。
これに関連して「ストレス」も原因の一つに挙げられています

そして、もう一つ言われているのが空気の排出、つまりゲップの問題。
食事の時に空気を飲み込む事が多く、ゲップが上手でない犬で発生率が高いです。
胃がパンパンですから、同じような状態になりますものね~。

 

 

 GDVの症状


大きな血管を止めてしまいますから、酸素もうまく運ばれませんよね。
循環不全が起こります。

そして、胃が変にねじれてますので、ワンちゃんは膨らんだ
胃の内容物を吐き出したいのに吐き出せないという様子が、
お腹の膨らみと共に見られます。

余計にお腹は膨らんでいき、血管を更に圧迫しますので急激に症状は進行。
命に関わります。

 

 GDVの治療


一瞬で正確な判断が求められます。
拡張した胃からガスを抜き、血行を安定化(ショック対策)、
手術で捻転を直します。

しかしながら、手術で捻転を直した事により問題が
発生することもあるので大変です。
今まで血液が流れていなかった血管に、
急激に血液が戻る事によるショック
です。
エコノミー症候群のような・・・ちょっと違いますがそんなイメージです。

 

 GDVの予防


三大原則があります。

・一度に大量に食べさせない(早食いも防止する)

・一度に大量に水を飲ませない(食前・食後に水を一定時間飲ませない)

・食後に急激な運動をさせない

その他、「高い位置に食器を置かない」(空気を飲み込んでしまいやすい)、
「ストレスをかけない」ということが言われています。

大型犬を飼ってらっしゃる方には、予防的に胃を固定する手術もあります。

 

 サイエンスダイエットは何が問題になってるの?


大豆ミールが、ガス発生の原因になっているのでは?と言われています。
大豆に限らず、豆類はガス発生の性質があるのです。

豆類によるガス発生→鼓腸症というのは産業動物で
特に問題となっている
病気です。

例えば牛は4つの胃があり、一番目の胃で細菌を飼っています。
この細菌に、私たち人間や犬・猫には消化出来ない草を分解(発酵)してもらい、
栄養素を作り出してもらう事によって牛は生きていけるのです。

ただ、この細菌による分解(発酵)でガスが発生します。
なので牛は「あい気」と呼ばれるゲップでガスを出しているんですが・・・

豆類をあげすぎたり、牛が濃厚飼料(豆類を多く含まれる)を盗み食いしたりすると
胃の中のガスが泡のようになってしまいゲップで出せなくなってしまいます。
それで胃がどんどん膨らんでしまって問題になるんですね。

おそらくここから大豆→鼓腸症、という考えが強く出ていると思われます。
実はこれだけGDVと大豆の関連性が騒がれていますが、GDVについての論文では
GDVと大豆等(コーン、穀物など)の間に関連は無い、と研究結果が出ています。

私はサイエンスダイエットが極端に多くの飼い主に普及している事が、
こういった病気の多発の第一の原因だと考えています。
確率としては多くはないのでは?と言う観点からです。

 

 追記(2006.4.10)


サイエンスダイエットに関する論文について。
ヒルズ社が提示している論文ですが、少し古いです。
1994年発刊の論文でして、その後GDVと大豆の相関性に関する
論文は出されていないと思われます。

私も「論文があります」と上で述べていますが、
論文の信頼性についてはそこまで高く無いと考えられます。
申し訳ございません。

ただ、経験、そして私自身の考えとしてはやはり上記と変わりません。
確率の問題としてはかなり低いと考えられます。
やはり普及率がかなり高いフードです。
問題が出ない方がおかしいのではないかと思います。

何か噂では無く、科学的根拠から大豆との相関性が疑われた場合は
即刻病院のサイエンス、また私のサイエンスの紹介を打ち切りたいと
考えております。

 

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