「アカラス」と言う、一見格好良さそうな名前の病気。
でも別名は「ニキビダニ症」、結構格好悪いです(苦笑)
さて、皆さん「ニキビ」と言うと、毛穴に分泌物がたまって
ギトギトで赤くて嫌なイメージがあると思います。
でも実際は人間のニキビよりもかなり厄介。
治すのが大変な病気です。
どうやって起こる?ニキビダニ症
結構普段から持っているダニが原因です。
つまり「発症」はしていないけれども、「感染」はしているんですね。
普段は全く大丈夫なダニなんです。
ところが、免疫力が落ちていたり、他の原因が重なる事によって、
普段は一緒に何ともなく暮らしていたニキビダニが異常繁殖。
住んでいる「毛根を包んでいる毛包」を傷つけてしまいますので、
脱毛などが起こります。
つまりはエイズなどで免疫力低下→口内炎、と同じような
病気の起こり方になります。
酷くなると?
全身に拡がっていきます。
煩わしい皮膚病ですので、そこを掻き毟ったりしてしまうことがあります。
そうなると、掻き毟った傷口から細菌が感染。
赤黒く皮膚が変色し、更に痒み・炎症が悪化し、
気がついた頃には全身の皮膚がボロボロの状態。
敗血症など、二次感染が原因で死亡する事もあります。
ただし、仔犬に発生した場合は9割方は自然に治癒します。
問題なのは大人の犬(特に高齢犬)に発生した場合です。
どこからダニをもらってしまうの?
仔犬の場合は、母親がダニに感染していて、
母乳をもらう時の濃密な接触が原因となる事が多いようです。
大人の犬の場合でも、濃密な接触がもらう原因となります。
つまり、多頭飼いなどですね。
でも、やはりもらっても通常は無症状です。
本当の原因は、そのダニを異常繁殖させてしまう、
体の異常かも知れませんね。
ニキビダニ症の治療法
原因が様々に絡み合う病気ですので、
治療もなかなか難しいです。
ひとまず、ダニを駆除しましょう。
駆虫薬の注射(ドラメクチンなど)を気長に繰り返す方法や、
殺ダニ剤、薬用シャンプー、薬浴により治療します。
状況によって臨機応変に治療する事が望まれます。
また、細菌感染を起こしている場合は、
その症状を治す為に抗生物質を使用する必要があります。
他の病気が原因でも、それぞれに対処しなければなりません。
特に難しいのが、アトピー性皮膚炎の併発を起こしている場合。
アレルギーによる皮膚炎ですので、抑える為にステロイドなどの
免疫抑制剤を使いたいところですが、それはダニにとっても好都合。
治すのは至難の業となります。
また、殺ダニ剤ですが、「疥癬」同様、卵には効きません。
ですので、表面上治っても油断は禁物です。
獣医の指示をしっかり守るようにしましょうね。
ニキビダニ症の余談
最初に「エイズで口内炎が起こるようなもの」とお話しましたが、
実はそんなに簡単なものではありません。
体力や免疫力の低下、遺伝的な面、基礎疾患などなど、
色々な原因が疑われており、しかもはっきりと解っていません(汗)
しかし免疫力の低下が、この病気を誘発するのは事実です。
免疫力を低下させるような副腎皮質機能亢進や、
甲状腺機能低下、糖尿病など、その他の疾患も引き金になります。
ですから大人の犬で起こると問題なんですね。
「このダニに対抗出来なくなるような、何かしらの体の悪い変化」が
起こっているって事になりますものね。
飼い主さんに出来る事は、普段から元気に、健康に育ててあげる事でしょう。
そしてわずかな体の変化にも注意することです。
引き金となる疾患を、早期に発見出来るかも知れません。
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