アレルギー、アトピーなど、色々と人によって呼び方の違う、
皮膚炎についてのお話です。
「アトピーとアレルギーって一緒?」と言う疑問もあると思います(笑)
一応アトピーは先天性のアレルギーを起こしやすい体質。
アレルギーは過剰反応によって、余計な炎症を起こす事。
つまり、アトピー性皮膚炎→ほぼアレルギー性皮膚炎ですが、
アレルギー性皮膚炎→アトピー性皮膚炎ではありません。
アレルギーってどんなもの?
どこでも説明されているであろう、アレルギーの解説です(汗)。
体を守るため、体には満遍なく警備員が配置されているとしましょう。
その警備員は「お前は通ってよし!」「お前は怪しい。待て!」と
言うように、体に入ってくる物質を検査しています。
しかし、そんなに分かりやすい物質ばかりでは無いようです。
たまに「怪しいけど大丈夫な物」や「大丈夫そうだけど危ない物」が
体に入ってくることがあります。
警備員がその判断を間違えてしまった場合、
体は「余計な炎症」を起こしてしまったり、「必要な炎症が起こらない」
ことになったりしてしまう訳ですね。
この前者がアレルギーとなります。
「怪しいけど大丈夫な物質」を攻撃→包囲→排除しようとするのです。
花粉症や食物アレルギーなどがこれに当たるでしょうか。
また、元気すぎる警備員も問題です。
「軽く追っ払っておけ」レベルの怪しい物質に総攻撃を仕掛けます。
結果、体では強すぎる炎症が発生。
皮膚炎につながる事になってしまいます。
ノミアレルギーやハウスダストはこういった反応ですね。
簡単に言いますと、両方とも「過剰反応」になる訳です。
余計な反応ですもんね~。
二度目のアレルギーは強い?
一度アレルギーになると、再びそのアレルゲンに触れたときの
反応が強くなりやすいです。
それは警備員が覚えているのが原因です。
「またお前か!!いい加減にしろ!」と警備員がその物質に対して
半苛立ち状態で迎え撃つ為、見つけた瞬間に総攻撃→反応が
早く症状も強くなりやすい、となります。
しかし、この反応。一見余計な反応ですが利用価値も。
例えばワクチン。
「こいつは怪しいやつだからな。覚えておけ」と、
訓練をさせておくことで実際に本物がやってきた時に
迅速に動いてもらえます。
しかし時間が経つと、ほとぼりが冷めてしまいますから
またワクチンを打って、訓練をしておく訳ですね。
犬に多いアレルギー
断然ノミアレルギーとアトピー性皮膚炎です。
つまり、ノミの分泌物によるものと遺伝的な体質によるもの。
少ない症例としては、食物アレルギー性皮膚炎や
蚊などが原因の昆虫アレルギー性皮膚炎もあります。
*徐々に食物アレルギー性皮膚炎が増えています。注意!
ノミアレルギー性皮膚炎
背中からお尻、しっぽの付け根にかけて、
三角形の範囲に毛が抜けたり、赤いポツポツが
見られるようならば、ノミアレルギーの可能性が高いです。
ノミが見られるようであれば、ノミアレルギー性皮膚炎と
暫定診断が出来ますが、ノミが見られない場合も多々あります。
一度ノミアレルギーを発症すると、次からはわずかな
ノミにも過剰反応を起こしてしまったりするからです。
なので、ノミは見つからない事もあります。
対策としてはスポットオンタイプのノミ駆虫薬による、
ノミの駆除をしっかりと実行する事。
また、部屋はしっかり掃除する事(苦笑)
特に畳やカーペット、ふとんや毛布、マットなど、
ノミが存在しやすい場所のものは、天日干しするなどの
対策が必要となるかも知れません。
アトピー性皮膚炎
アトピーは最初の解説の通り、アレルギーを起こしやすい体質です。
なので、年を追う毎にアレルギーが増えていったりもします。
全てのアレルゲンを一掃するのは、かなり至難の業ですね。
起こしやすい犬種はレトリーバー系、シーズー、柴犬、ウエスティなど。
少しでも痒みを軽減してあげる為に、
・ステロイドや抗ヒスタミン剤の投与
・必須脂肪酸の含まれるサプリメントや食品
・保湿力の高いシャンプーによる皮膚のバリア強化
などの対策を行います。
また、食物がアレルギーの原因となっている場合は、
蛋白質やアレルゲンを含まない処方食への転換も
有効な手段となります。
しかしながら、一番重要なのはアレルゲンを見極める事。
時間がかかる事が多いですが、最終的な目的はそこにあります。
飼い主さんに出来る事
清潔な環境は、結果的にアレルゲンの減少につながります。
部屋は常に清潔に保つようにしましょう。
また、ストレスはアトピー性皮膚炎の悪化の原因となりますので、
適度な運動と休息をとらせてあげるようにしましょう。
シャンプーも飼い主さんのお仕事ですね~。
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