「はい、じゃあ明日から馬の血液を採ってきてもらって、
血球分離してそれを実験に使う事になるからー」
「担当の学生には話しておいたから、明日馬舎に
行けばどの馬か教えてくれると思うよー」
4年生になり、めでたく研究系のゼミに配属したビーグル獣医。
行う事になった実験は「馬の血球」を使ったものでした。
当然、馬から血液を頂かなければなりません。
馬の採血は、これが初めてだったビーグル獣医。
果たして上手く(シャレじゃありません)行くのでしょうか?
次の日、早速担当の繁殖学教室へ。
到着したビーグル獣医を待っていたのは、
仲の良い同級生Aくんでした。
「ああ、○○くんだったんだねぇ。じゃあ馬のところまで
案内するよ。名前は・・・キングって言うんだ・・・はは・・」
・・・・ちょっと待て。はは・・じゃないってば。
どう考えてもマズイ。その名前はマズイ。
「強いからキング」
「気性が荒いからキング」
「大きいからキング」
どれにしても、初めて採血をするには大変危険であろうキング。
何しろ「王」である。
へなちょこ獣医学生に、血液なぞくれてやる訳が無・・
カツッ・・・・・!カッ・・・・・!!
ブルルルシュルシューーー!!
ブヒヒヒヒヒーーーン!!
絶対アイツだ・・・キングは奴に違いない・・・
「○○くん、あれがキングだよ。」
ええ、知ってますとも。
「一緒に・・・獣医になろうな!」
いや、何故今そんなセリフを(汗)
「じゃあ行くよ!とりゃあっ!!」
無謀にも棒に紐を付けただけのような、
鼻捻棒と言う道具一本でキングに立ち向かうAくん。
しかし・・・
「うわああああぁぁぁぁ!!」
鼻捻棒どころか、入ろうとしただけで吹っ飛ばされたAくん(汗)
これはマズイ。採血は出来ないのだろうか・・・
「○○くん!これを使うのよ!」
突如現れた繁殖学教室のマドンナBさんが持っていたのは鎮静剤セット。
どうやらAくんとビーグル獣医が、情けないへっぴり腰姿で
キングにヘロヘロ立ち向かっていたのを見かねた院生の先輩が、
マドンナに持たせてくれたらしい。
うん・・・それがあれば・・・イケる!!
「行け!!○○くん!!!」
再び注射器を片手に突っ込むビーグル獣医。
・・・・ん?どうして私なんだ?
いつの間に掛け声だけ参戦に変わっているAくん(汗)
生まれて初めて、振りかぶって注射器を使用するという
離れ技を披露したビーグル獣医ですが、何とかキングにヒット!
無事、採血を完了したのでした。
ありがとうAくん。ありがとうBさん。
「いやあ、大変でしたよぉ。キングが暴れてAくんが吹っ飛んで・・」
先生の元に戻り、得意気に武勇伝を語るビーグル獣医ですが、
ここで有り得ない一言が・・・
「え!?鎮静剤使ったの?・・・・じゃあ実験に使えないよぉ。」
え?
「明日もう一度採ってきなさい。鎮静剤無しで」
あああああぁぁぁぁ・・・・・・
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