獣医になりたてのビーグル獣医が勤めていた動物病院に、ガラスの仮面とともにこっそり置いてあった漫画「動物のお医者さん」。
残念ながら、「ガラスの仮面」は11巻が抜けてるという不測の事態により完読を挫折することとなりましたが、「動物のお医者さん」は全巻揃っていて本当に良かった。
1987~1993年まで連載が続いた大人気少女漫画で、文庫版や愛蔵版を含めた累計販売数はなんと2000万部以上という怪物漫画です。
その人気は当時舞台となったH大学に志望者が殺到し、漫画に登場する犬の犬種であるシベリアンハスキー人気が過熱することになったほど^^;
H大学の面接では「君も動物のお医者さん?」といった質問が出まくっていたそうな(苦笑)
さすがの面白さにビーグル獣医も一気読みをかましましたが、あれを読んだのは獣医になりたての頃・・
もし、今読んだらどう思うんだろう。むしろ、もう一回読みたい。うん、読みたい。
・・ということで、購入しました(苦笑。皆さんもぜひどうぞ^^↓)
ということで、せっかく購入しましたので今回は「もし現役獣医が当時の獣医漫画を読んだら」でも書いてみましょうか^^;
著作権侵害にならないよう、引用の範囲でコマを少し使いながらご紹介しようと思います。
では早速第一巻を見ていきましょう。
漫画が始まって早く47ページ目。
病気の羊を見せて教授がクイズを出す場面です。
実はこの場面、結構な病気をぶち込んでいます(苦笑)
多分作者は分かってボケてるのでしょうが、読者の誰にも気付かれないという悲しいシーンです。
獣医だけが激しく得意げにツッコミを入れて、ドヤ顔で満足していることでしょう(※注 ビーグル獣医はそんなにドヤ顔はしていません)
「スクレイピーかな」
どうも病気を難しく考えすぎるのが獣医学生や新人獣医の特徴とも言えますが、この予測はそれにしてもぶっ飛んでいます。
スクレイピーはいわば狂牛病の羊や山羊バージョン。
有効な治療法も見つかっておらず、他の羊やヤギに感染してしまうので見つかったらただちに隔離して殺処分になるほど強烈な病気です。
つまり、「スクレイピーかな」は動物病院で皆さんの犬が「狂犬病かな」と言われるほどのハイレベルな診断(笑)
ちなみにマエディ・ビスナもスクレイピーとまではいかなくても見つかったら殺処分されてしまう大変な病気で、更に当時の日本は清浄国と考えられていましたので少なくとも第一候補には挙がりません。
この学生は勉強不足ですねぇ(ドヤ)
と、思いきや2012年に日本で発生が認められてしまいました^^;
もしかすると、この学生は将来この病気が日本で発生することを予測していたのかも知れません(汗)
あー、痛い痛い・・そこは痛い・・
下痢をして体調不良の犬を教授が診察している場面です。
教授が失敗しまくったせいかも知れませんが(苦笑)、三番目に選ぶにはあまりにも痛い部分に点滴をぶっ刺しちゃってます^^;
後足の「くの字」の部分にも刺しやすい静脈はありますから、そこに刺してあげて欲しいものです。
・・っていうか、その針・・点滴の針じゃ無いんじゃ・・
ちなみに静脈点滴に使う針は↓↓
こんな形をしているんですよー。
上が元々の形でまずこのまま静脈に刺します。
そのまま針が入っていたら動いた時に刺さっちゃいますよね^^;
なので、中の金属製の針だけ抜いて、柔らかいチューブだけが血管に残るようにセッティングするのです。
そもそも、ちょっと調子が悪い程度の犬に突然静脈点滴はなかなかしませんけどね^^;
皮下点滴よりも高くなっちゃいますし、時間もかかって仕方がありません。
5000円くらい取られちゃうんj・・
高ーーーー!!
なんと獣医学部にはこんな風景が広がっているそうな・・
「こんな動物に囲まれた場所で勉強なんて素敵♪」
一見獣医学部に憧れてしまうようなページですが、残念ですがこんな状況ではありません(苦笑)
獣医学部と言っても、授業は普通の授業。
他の大学と同じような教室で同じように出席を取って静かに勉強するだけですよ~。
もちろん教室に動物は持ち込めませんし、吠えたら授業どころじゃ無くなっちゃいますよね。
「外に繋いでおけば?」
病気うつされちゃいますよ^^;
H大だと野生動物も多いと思うので、ダニとかも心配です。
こ、これは・・
獣医や獣医の卵は動物を遺棄しません(苦笑)
多分。
主人公宅の飼い猫が、間違えて不妊手術を受けさせられてしまうかも知れない場面。
ど、どうやって起きてる猫をそんな風に縛れたんでしょ^^;
ああ・・人海戦術でしたか(苦笑)
猫が可哀想ですので麻酔をかけた後に縛ってあげるようにしましょうよぉ^^;
ちなみに他のコマから察するに、おそらく麻酔はケタミンという薬を使っていると思われます。
この薬は筋肉注射で血圧低下や呼吸抑制をさせずに麻酔がかけられるので、長年獣医療でも重宝されてきたのですが、2007年に麻薬指定されてしまって管理が大変になってしまいました。
使う病院もだいぶ少なくなってきているんじゃないでしょうかね~。
そう言えば、この場面でもう一つ気になるコマがありました。
ビーグル獣医の大好物です。(※注 「フン」が大好物ではありません)
こういう面白い看板とか大好きです。
ちなみにビーグル獣医が発見したもので「猫、吐きました」がありましたが、残念ながら出所が海外でしたので日本勢にもぜひ頑張ってもらいたいものですね~。
ちょっと恥ずかしい話ですが、獣医学生のほとんどは卒業する段階まで採血出来ません^^;
犬や猫相手の経験もほとんど無い中で、更に人間の採血なんて恐ろしくて出来ません。
当時はあったのでしょうか・・ハイレベルですねぇ(汗)
もしそうだとしたら、シリンジや針はどこで手に入れるでしょうね~。
ゼミに入っていなければ不可能でしょうし、ゼミに入っても人間に使えるような針があるとも限りません。
ちなみにビーグル獣医のゼミは馬の採血をよくしていたので・・
この針のうち18G一択です(苦笑)
人間の採血に使っている針は22~23Gでしょうか^^;
18Gで頑張って採血なんて、もはや自傷行為以外の何物でもありません。
お願いですから人間のお医者様、よろしくお願いします。
獣医学部の運動会風景シーンですね~。
ああ・・思い出しますねぇ。
今はお酒についても厳しくなったと思いますのでこういった競技は無くなったでしょうが、R大でも昔はこれに近い運動会がありました(苦笑)
ビーグル獣医が参加したのは、ウイスキーを一気飲みしてバットを中心にぐるぐると20回まわった後にダッシュするという競技^^;
10分後くらいに記憶が飛びました。
きっとあの競技のせいで、ビーグル獣医はこんなふうになってしまったのだと思います。
もっと名医になっていたはずなんですよ、本当は。
さて、最後に一コマ。
獣医の宿命ですね。
動物好きで獣医になったのに、動物に嫌われまくります^^;
ということで、今回はこれまで。
第2巻を読み終え次第、次回に進みたいと思います~。
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