犬の乳腺腫瘍

 

メス犬の腫瘍の半分を占める病気です。
どんな病気でどうやって治療、予防はどうすればよいのかについて。

 

 半分半分半分です。


犬の乳腺腫瘍は、非常に覚えやすい病気です。
そのキーワードは「半分」。

まず、メス犬の全腫瘍の半分がこの腫瘍。

そして、良性・悪性の割合が50%:50%。

更に悪性のうち、嫌な悪性の割合が半分

半分だらけの腫瘍となります。

 

 嫌な腫瘍とは?腫瘍を少し教えます


動物の細胞はいつもバランスをとって作られ、そして壊れていきます。
なので、大人の動物は同じ大きさで居られる訳です。

ところが、ある細胞が突然何かしらの異変で増え続けてしまうのです。
通常、こういった細胞は体に「お前おかしいんじゃね?」と淘汰されますが、
中にはこの淘汰から逃れる細胞も出てきてしまいます。

この細胞が腫瘍の原因です。
そして、そういった細胞にも種類があります。

・ある程度までしか増えず、他の臓器にもお邪魔しない節度ある細胞

・どこまでも増え続け、更に他の場所にまで移動してしまう迷惑な細胞

前者が「良性腫瘍」、後者が「悪性腫瘍」の細胞です。
他の場所にまで移動してしまう事を、転移と呼びます。
全くもって迷惑な細胞です。

他の場所に移動してもなお、悪性腫瘍は身勝手に増え続けますので、
その場所に障害を起こし気がついたら体中障害だらけになってしまいます。

乳腺腫瘍で悪性の場合、半分は比較的転移が遅かったりその場所だけで
増え続けるもの、残りの半分は転移しまくりの嫌な悪性腫瘍となります。

つまり良性腫瘍:良性に近い悪性腫瘍:悪性腫瘍の割合は50:25:25ですね。

 

 どうして腫瘍が出来てしまう?


腫瘍の原因は人間でも言われている通り、様々ですが、
犬の乳腺腫瘍の場合は性ホルモンが重要視されています。

その理由は初期発情前に避妊した犬の発生率が極端に低い事。
また、一回あった後に避妊、二回あった後に避妊、と徐々に
発生率が上がっていく事によります。

*2009/5/8
現在では、未避妊犬と比較して初回発情前で避妊→0.05%、一回発情→6~8%、
二回目以降は一律26%くらいにリスクを減らせると言われています

 

 

 乳腺腫瘍の症状


乳腺のある部分にシコリが見られます。
乳腺腫瘍は単発では無く、乳腺の存在する位置に複数
出来る事が多いので、お腹付近に大小様々なシコリが
見られる事も少なくありません。

症状は悪性だった場合はいわゆるガンの症状で、転移を起こしていた場合、
その障害を起こした臓器に由来した症状を示します。

 

 どうやって治療してもらえる?


まずオデキがあった場合、良性か悪性かを判断します。

悪性の場合、どこにも転移していなくオデキも小さい初期の段階から
転移しまくりのガン症状を現している最終段階までありますので、
その段階に応じて治療方法を決めていくことになります。

第一段階であった場合は、そのオデキと周辺部分、それにリンパ節などを
切除、併せて放射線治療や抗癌剤治療を行う事により、
完治できる可能性も高いです。

ちなみに悪性腫瘍の場合、少しでもガンの細胞を残してしまっては
また増え続けてしまって意味がありませんので、周辺部分は
かなり余裕を持って、確実に取り除く事になります。

転移してしまうと、人間のガンでもそうですが、完治は難しくなります。
こうなってしまった場合は、「これ以上悪化させない治療」
抗癌剤、外科手術、放射線治療などにより行います。

これらの治療では苦痛と幸せのバランスを考えて、
治療をどこまで行うかを決める必要があるかも知れません。

 

 予防は出来るの?


避妊手術を出来るだけ早い段階で、出来れば
初回発情前に行う事が予防につながります。

しかし、予防しても確率が無くなる訳ではありません
最初は乳腺の小さなしこりから始まる病気です。
小さなしこりが無いか、常に気をつけてあげることが大切ですね。

 

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