今現在、「パルボ」と聞けば「危険」と直結する
飼い主さんもかなり多いことでしょう。
それくらい有名になったウイルス性の感染症です。
でも「何がどうなってヤバイの?」は意外と知られて無いかも・・・
皆さん、パルボウイルスの事、ちゃんと知っていますか?
パルボウイルスの雑学
1970年代末、犬がバタバタと死んでしまう、
原因不明の感染症が世界中で起こりました。
日本では「ポックリ病」「コロリ病」と呼ばれていたこの病気、
これがパルボウイルス感染症の始まりです。
何故突然このようなウイルスが現れたのか。
それは「猫パルボウイルス」の変異だといわれています。
つまりは「鳥インフルエンザ」と同じように、突然変異により
病原性の強い、犬に感染するウイルスになってしまったんですね。
症状が起こるまで
ウイルスは自分では増殖出来ない、ただの遺伝子です。
ウイルスは全て、動物の細胞を利用して増える病原体なんです。
そしてウイルスそれぞれで利用する細胞が異なります。
このパルボウイルスが利用するのは「増殖盛んな細胞」。
腸の粘膜や骨髄は絶えず増殖を繰り返す組織ですので、
真っ先にこのウイルスの標的となってしまいます。
症状
腸の粘膜がやられますので、下痢・嘔吐が続きます。
更に血便、脱水、体力低下が起こり、やられた粘膜からは
細菌が体内に侵入。
酷ければ、敗血症やショックを起こして死んでしまいます。
骨髄(血球を作っているところですね)がやられてしまいますので、
一部の白血球が作られなくなってしまいます。
白血球が少なくなれば、免疫力は落ちます。
当然、二次感染にも罹りやすくなってしまうでしょう。
もともと免疫力の弱い老犬や仔犬では1,2日で死んでしまう事も
少なくない、凄まじい病気となります。
強くて困ります。
パルボウイルスは非常に丈夫なウイルスとなっています。
そこら辺で、半年~一年間も生きている事が出来ます。
どうやって感染してしまう?
感染した犬の糞や尿、唾液、鼻水、嘔吐物からウイルスは排出されます。
そして、先ほどの通り半年から1年間生きているのです。
人間の衣服や部屋の隅、靴の裏から動物の被毛、
あらゆるところに付着して、次の感染の機会を待つ事になります。
まれに感染してもウイルスを排出するだけで、症状を示さない
犬も居るので、そういった場合は更に問題となります。
実際にあった話としては、仔犬が突然死した犬舎で、
一年近く経ってから新たな仔犬への感染が見られた例もあります。
どうすれば消毒出来る?
普通の消毒薬や石鹸などでは死滅しません。
塩素系の強力な消毒薬を使用する必要があります。
治療法は・・あるんですよね?
残念ながら直接的な治療法はありません。
いわゆる対症療法を行っていくしかありません。
予防方法
ワクチンを打ちましょう。
特に仔犬は生後二ヶ月頃に移行抗体が無くなってしまいますので、
その時期が一番危険です。
獣医と相談して適切にワクチン計画を立てて行きましょう。
現在では少なくなっている病気ですが、丈夫で感染力の強いウイルスです。
いつまた流行するか分かりません。
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