犬猫2万匹が流通過程で死亡?の大きな勘違い 定期報告届出書って?

チワワの親分と子分

 

2014年度に国内で販売されるなどして流通した犬猫の数は約75万匹で、
その約3%にあたる2万3千匹余りが流通過程で死んでいたことが、
朝日新聞とAERAの調査でわかった。

昨年(2015年)の秋、このようなニュースが流れました。

「え?運ぶ途中でそんなに死んでるの?酷い!」

「段ボールにギュウギュウに詰めて運んでるからそんな事に・・」

ついつい先入観でそんな想像をしてしまいがちですが^^;、
果たしてこのニュースの内容は正しいのでしょうか?

いやあ、ビーグル獣医としては「流通している数」も「死亡数」も
「流通過程の捉え方」も全然違うと思いますけどね~。

 

 数値の元になった報告書


 13年9月に施行された改正動物愛護法で、繁殖業者やペットショップなどに
提出が義務付けられた「犬猫等販売業者定期報告届出書」の13年度分
(9月施行のため原則的に同月以降の7カ月分)と14年度分を独自に集計した結果、判明した。

とニュースには書かれています。

 

 犬猫等販売業者定期報告届出書って?


取り扱っている犬や猫の動向を数値で報告する紙ですね~。
犬猫を販売する業者は、1年度分の数値をまとめて報告する義務があります。

項目としては

・年度初めに所有していた犬や猫の数

・月ごとの生まれたり購入したりして新たに加わった犬や猫の数

・月ごとの売ったりあげたりして減った犬や猫の数

・月ごとの死んでしまった犬や猫の数

・年度終わりに所有している犬や猫の数

以上です^^

これを犬猫を販売する業者それぞれが提出することになります。

つまり、「流通過程」とはいっても流れている途中のことでは無く、
定位置での死亡数なんですよ。

ブリーダーの元で亡くなった犬、ペットショップの中で亡くなった犬など、
その場その場での数が基本となります。

 

 問題点1 業者が理解出来ていない


例えば「親犬の数は入れるのか」「引退した親犬が死んだけど数値にするのか」
「5匹中1匹が死産だったけどこれは?」などなど・・

親犬の数を入れていない業者、死産は元々カウントしていない業者など、
その業者によって数値の出し方が異なっているのが現状のようです。

そもそも受け取っている保健所側の人たちも、何をどこまで入れるべきなのか
イマイチ分かっていないというオチまでついています(苦笑)。

試しに保健所に電話してみてください^^;

「定期報告届出書について質問なんですが、親犬の数は?親犬が引退したときの数値は?
死産はどうすれば?」などと質問すると、おそらく即答はしてもらえないでしょう。

「親犬はむにゃむにゃ・・死産はタイミング的なものもあるかもモニョモニョ・・
・・折り返しお電話させて頂いてもよろしいですか?」

始まったばかりの制度にはよくあることですが、困った状態ですねぇ。

 

 

 問題点2 良質な業者のデータばかりが集まる


これは皆さんも予想がつくかも知れませんが、

「悪質な業者ほど提出しない」

「悪質な業者ほど数値が正確でない」

 

保健所が苦戦しているような悪質業者の場合、
そもそもいつ何頭どこに売ったかなんて分かっていないんです。
何頭死んだかも分かっていないんです。

ちなみに死亡数が多いと、どんな原因で事態に至ったかを証明するため
獣医師の死亡診断書の提出義務が発生します。

悪質業者はそんな事は避けたいですから、死亡数を隠します。
産まれていないことにするのか、他の悪質業者にあげたことにするのか・・

いくら言っても提出してもらえず、やっと提出してもらえたと思いきやその数値は適当な数合わせ。

これでは何の参考にもなりませんよね(苦笑)

 

 問題3 数値のウソが見破れない


2014年度(2014年4月~2015年3月)の報告書提出期限は
2015年5月30日です。
年度が明けてから60日以内に、前の年度の数値を提出します。

受け取った報告書を片手に、保健所は年に一回程度の立ち入り検査に向かう訳ですが・・
そんな大昔に「死んだけど産まれていないことにした」犬を果たして見破れるでしょうか(汗)

まあ、そういうことです^^;
悪質な業者で書類探しから始まる場合なんかはもっと苦戦することでしょう。
ある意味それも悪質業者の作戦かも知れませんけどねぇ。

 

 その他の気になる点


流通した犬や猫は75万頭の部分を疑問に思います。

最初にビーグル獣医が「流通している数」も「死亡数」も「流通過程の捉え方」も
全然違うと思います、と喧嘩を売った(笑)部分について。

この報告書は業者それぞれが提出しますよね。
その数値を足したら75万頭になったのだと思います。

でも、

 

ブリーダーA⇒ブリーダーB⇒ペットショップC⇒ペットショップD⇒飼い主

 

同じ犬が上記のような経緯で売られた場合、流通している犬は一頭ですが
今回の調査では4枚の報告書が提出され、4頭が流通したことになってしまいます

この報告書では数しかありませんので、この二重カウントを防ぐ方法はありません^^;

無理やり正しい表記にするとしたら、「75万回の犬や猫の流通」でしょうかね~。

でも、悪質な未提出業者抜きの、嘘の報告書混じりの流通回数ですよ(苦笑)。

 

 まとめ


ということで、文句ばかり言ってきましたが(苦笑)
調査自体は有意義なものだと思います。

何でもまずは行動に移すことが大切です。

報告書にしても調査にしても、最初はうまく回らないのは当然のことなのです。
これから改善しつつ、もっと意義のあるものに運んでいけば良いのだと思います。

我々は我々で、情報の一部分だけを見て踊らされないように気を付けましょうかね~^^

 

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