10万頭の犬や猫が保健所で殺処分?の大きな勘違い 

 

皆さん、「年間10万頭の殺処分」と聞いてどんな想像をされますか?

保健所に捕獲された犬や猫が・・

無責任な飼い主が捨てるから・・

ペットショップの売れ残りが・・

悪質なブリーダーが居るから・・

そう、それも間違ってはいませんが殺処分のとんでもなく大多数を占める、
ある事をご存じない方々が多い多い^^;

この問題を解決しないと、殺処分ゼロなんて夢のまた夢なんですよ。
一体どのような問題なのでしょうか。

 

 保健所に捕獲された犬や猫?


一番勘違いされているのがこの部分^^;

まず、猫は捕獲されません
猫を捕獲する法律はありませんので、保健所が外の猫を連れてくるのは
「大怪我を負っている飼い主がいると思われる猫の一時保護」だけです。

犬では狂犬病予防法がありますので放浪していれば捕獲されますが、
捕獲された犬が殺処分数全体の多くを占めるかと言うとそうではありません。

 

 無責任な飼い主が居るから?


無責任な飼い主による保健所への引き取り依頼や遺棄ももちろんあります。

飼っている自覚がありつつ、命を投げ出す訳ですから、
一番問題なのはこのパターンかも知れませんね。

しかし長年、保健所では

「引き取りを求められた場合は応じなければならない」

とされてきましたが、平成25年の動物愛護法改正で

「引き取りを求められても拒否することが出来る」

と対応が変わりました。

これにより、引き取りによる犬や猫の収容数・殺処分数も減少しています。
とはいっても、元々の数もやはり年間10万頭のうちのほとんどかと言うと
全然占める割合としては多くないのです。

 

 ペットショップやブリーダー?


保健所はペットショップやブリーダーからの引き取り依頼には当然応じませんから、
これも皆さんの予想と違うかも知れませんね(汗)

ペットショップやブリーダーが関連するとすれば、遺棄と崩壊でしょう。
大型のブリーダー崩壊のニュースは皆さんも時々目にされるのではないでしょうか。
山の中に遺棄されていたニュースとかもそうですね。

しかし、これも年間10万頭に大きく影響しまくっているかというと
やはり割合としては多くはありません

 

「もういい加減教えて!ビーグル獣医!」

そろそろお教えしないと暴動が起きそうですね(苦笑)
では、一番影響しているパターンをお教えしましょう。

 

 殺処分数に一番影響しているもの


子猫です。

環境省の平成26年度の統計では

 

【殺処分数】

犬:21,593頭 うち幼齢個体3,592頭

猫:79,745頭 うち幼齢個体47,043頭

 

です。
実に全体の半分近くを子猫が占めています。

保健所に来る経緯としては・・

・ニャーニャー言っているので見てみたら、庭に子猫が居た

・ドブから子猫の鳴き声がする

・公園で死にかけた子猫が居る

と通報を受けるか持ち込まれるケースが多いようです。

「捕獲してるんじゃないか!」

いえいえ、捕獲じゃなくて一時保護ってことになるでしょうね。
放置したら死んじゃいますから。

こうして搬入された子猫のうち、救える子猫は救おうとする自治体がほとんどですが
何しろ「野生動物にやられて死にかけ」「餓死寸前」「ウィルス疾患にかかっている」など
まともな状態で無いことが多いため、助けられる子猫は限られてきます。

内臓が飛び出していたり、目が飛び出たり破裂していたりするそうです。

助けられると判断した一部の猫に、保健所や動物愛護センターの獣医などが
ミルクをあげ続けたり飼い主さん探しに追われたりした結果・・

 

猫の譲渡数:12,197頭

 

この数が生まれる訳です。
しかしながら子猫の80%は助けられない状態または保健所の容量オーバーのために
殺処分になってしまいます。

「猫をもう一切殺すな!!」

単純にそのような声をあげてしまう方も居ますが(苦笑)、
死にかけで助かる見込みのない子猫が目の前に居て苦しんでいたら、
安楽死をしないことは本当に人道的なのでしょうかねぇ^^;

この安楽死を殺処分数に含めないだけでも大きく数値は変わると思いますよ。

 

 

 子猫がそんなに生まれる原因


明らかに「無責任な自己満足の餌やり」です。

公園や庭で猫に餌だけあげて「この子たちが可哀想でしょ!」と言っている方々。
この方々が作っているのは猫の出会いカフェです。

出会いカフェで気の合うカップルとなった猫たちは、それぞれ子作りに励みます。

最終的に出会いカフェで子猫を産んでくれれば、無責任な餌やりさんに悲惨な現実を
見せつけられるのかも知れませんが、そうはならないので問題に気が付いてくれません。

親猫は人気の無い安全な場所を探して子猫を産みます。

餌やりさんは猫を救っている気になって大満足。

その裏ではあちこちで子猫が生まれては壮絶な死に方をし続けている。

これが今の日本の現実です。

 

 でも餌がなくて猫が可哀想


餌やりさんが餌をあげているその猫も、元々は無責任に人間が増やした命ですからね。
確かにその子たちも救ってあげるべきだと思いますよ~。

では、どうしたらいいのか。
簡単です。

避妊手術と去勢手術をしてあげればいいんです。

それに近所の方に疎まれるのは可哀想ですから、トイレも用意してあげて、
出会いカフェにならないようにその子にだけ餌をあげましょう。
餌をあげたらすぐに器を片付けちゃえばいいんです。

「猫が可哀想」と思う方がとれる方法は、上記の方法かその子の完全室内飼いを
自分でやるしかありません。
出来ないのであれば、手を出さない方がまだマシでしょうね^^;

餌だけあげたら動物愛誤ですが、不幸の連鎖が続かないように手術をして、
管理もして一生をまっとうさせられればそれは立派な動物愛護です。

 

 まとめ


この問題はもちろんビーグル獣医だけが知っているものではなく、
すでにたくさんの方が知っている事実です。
解決に乗り出している方も多いんですよ~。

ただ、やり方が下手だったり近隣の理解が得られなかったりする場合もあって
苦労は絶えないと言います。

「猫を助けてるんだから、何もしていないあなた方は文句言わないで!」

と、強気に出過ぎてしまう場合もあれば

「猫は増えて欲しくないけど、自分は何もしたくない!」

「手術かなんか知らんが猫に餌やったらうちにも猫が来るじゃないか!」

と、自分の周りで起こっている猫大繁殖の危機が、実害無く勝手に解決するものと
思っている他人任せの方もいらっしゃるようでして・・(苦笑)

このような活動を補助している自治体も増えましたが、この話は長くなってしまうので
また今度お話することにしましょう。

もし、皆さんの地域で「最近猫見かけなくなったわねぇ」なんてことがあったら、
そこには動物愛護に乗り出した誰かの隠れた努力があるかも知れませんよ^^

 

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