犬の僧帽弁閉鎖不全症

 

年をとった小型犬の心臓病→僧帽弁閉鎖不全、というくらい
よく起こる病気となっています。
一体どんな原理で起こっているのかを解説。
症状については「心不全」をご覧下さい。

 

 血液の流れ


例えば右側の心臓で考えてみますと、

肺静脈→左心房→左心室→大動脈
と、血液が流れていくのですが、

 

肺静脈→左心房→(A)⇒左心室⇒(B)⇒大動脈

 

(A)、(B)それぞれにシャッターがあります。

「どうしてシャッターなんか必要なの?」
はい、それはですねぇ・・・

皆さんご存知の通り、心臓はポンプのように収縮して
血液を送り出していますよね。
途中の血管で血液の流れが止まらないように、非常に
強い力で血液を送り出します。

分かりづらい方はマヨネーズの蓋を開けて、思い切り握ってください(笑)
すごい勢いでマヨネーズが噴き出したと思います。
でも、マヨネーズの蓋が上と下、両方についていたらどうなるでしょう。
そうです、両方から噴き出します。

つまり、シャッターが無いと心臓が力を加えた時に

肺静脈→左心房→左心室→大動脈、では無く

肺静脈⇔左心房⇔左心室⇔大動脈

となってしまうんですね。

これでは「肺で酸素を受け取った血液」が肺に戻ってくるわ、
「体で酸素を使い果たした血液」がまた体に戻ってしまうわ

とてもじゃないですが、体全体に酸素を送る事が出来ません。

つまり、

肺で酸素を受け取る→その血液を肺には戻さない

体で酸素を使い果たす→その血液は体に戻さない

こうする為にシャッターがあるのです。

 

 僧帽弁閉鎖不全とは


Aのシャッターが緩んでしまう病気となります。
つまり、Aのシャッター=僧帽弁です。
緩んでしまうとどうなってしまうのでしょう。

 

 

心臓に負担がかかります


普段は心臓が100の力で血液を送り出すと、
100の力でそのまま大動脈に血液が流れていきます。
シャッターがしまっているので、大動脈にしか血液はいけませんものね。

ところがシャッターが緩んでいて、心臓が100の力を加えると
大動脈80、逆側に20のように、力が分散してしまいます。

でも体は100の力で送り出してもらわなければ酸素が足りません。
ではどうしたらよいでしょうか。

心臓が125%の力で血液を送り出し、
大動脈100、逆側に25にするしか
ありませんね。

もちろん心臓はいつもよりも疲れてしまいます。
だんだん心臓の負担が強くなり、最終的には止まってしまうのです。

 

 治療は?


心臓の負担を軽くしてあげるしかありません。
心臓を強くする薬、血管を広げてあげる薬、利尿薬を使います。

早期発見早期治療はもちろん心臓を長持ちさせるのに有効です。

 

 僧帽弁閉鎖不全を早期発見する為に


特に小型犬は年をとるとこの病気がよく起こります。
5歳を超えたあたりから、心臓の検査は半年、あるいは一年に
一度くらいは行うと良いでしょう。

 

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