大型の犬には「骨や関節の病気」が多いです。
その理由は、大型だから^^;
なんだそりゃ?と思われるかも知れませんが、意外と理由は簡単です。
大型犬は小型犬と比べて体重は10倍以上あります。
でも、生まれたての頃はというと・・・
ほとんど大きさは変わりません。
という事は・・そうです。
大きくなるスピードが早い=骨の成長も早い=骨や関節の病気が多い
骨や関節の病気を中心に、大型犬の病気を一通り見てみましょう~。
股関節形成不全
もっとも代表的な病気です。
股関節がしっかりと出来ていないために、 足の骨が外れてしまいます。
多発する犬種はシェパード、ゴールデンレトリーバー、
ラブラドールレトリーバーなど。
原因は遺伝ですので、 予防は繁殖させないことに尽きると思います。
例えばグレーハウンドは大型犬ですが、この病気があまり見られません。
その理由は「レースに使用されることが多いから」。
骨や関節が弱ければレースで走れませんからね~。
レースで活躍できる血統を残したら、自然と股関節形成不全が消え去ったのでしょう^^
つまり、同じことをラブラドールにすればこの病気は消えるはずなのです。
ブリーダーの良心に期待しましょう(苦笑)
もし、遺伝的に持ってしまった場合。
発症させない手段の一つはダイエットです。
人間と一緒ですね~。太っているから膝が痛むのか、膝が痛むから太るのか(笑)
体重が増えれば骨の負担は当然増えます。
せっかく外れる直前で踏ん張ってくれている股関節を少し助けてあげましょう。
もう一つ、カルシウムのあげすぎも原因の一つとされています。
骨が早く成長するから・・とカルシウムのサプリメントをあげたせいで、
むしろ早く発症してしまうという悲しい事態に陥ります。
大型犬・幼犬用のフードならば必要なカルシウムは
元々含まれていますので、必要以上にあげる必要は無いかと思われます^^;
成長期の骨の痛み
1~3才までの大型犬、特にシェパードに
多く見られる病気で「汎骨炎」というものがあります。
イメージとしては人間で言う成長痛のようなものでしょうか。
「うわっ・・右足が・・・」「つ、次は左かよ!」「もうやめてくれーー!!」
・・・と、右足を痛がってたが、次に見たら左足に移っていたりします。
動物病院では「うちの子が右足を痛がっていて・・・」と言う飼い主さんの真横で
左足を痛がっている犬が居るという面白い状況になります(苦笑)
この病気は成長を終えると自然に治りますので、特に治療などする必要はありません。
気にはなりますが、ちょっと我慢してもらいましょう~。
あまりに痛がる場合は病院で鎮痛剤を貰ってください。
もっとも怖い骨の病気
「骨肉腫」という、骨の悪性腫瘍があります。
多発する犬種はゴールデンレトリーバーやシェパードです。
この病気にかかってしまうと、出来るだけ早く足を切断するしかありません。
その後、抗がん剤で治療すると言うのが一般的な治療方法になります。
しかし、この治療でも完全によくなることは非常に少なく、
一年以上生存することは少ないと言われています。
出来るだけ早い発見が寿命を延ばす最良の方法となりますので、
定期的な検査で早く見つけてあげましょう~。
熱中症
さて、骨の解説を終えまして、今度は熱中症について^^
皆さん、ベルクマンの法則をご存知でしょうか?
「寒い地域に住むほど体が大きくなり、暑い地域に住むほど体が小さくなる」
こんな法則です。
体が大きいほど体表面積の割合が減りますから、
作られる熱の方が放出する熱よりも多くなるって事なのですが・・・
「太っている人には暑がりが多く、ガリガリの人には寒がりが多い」
ですと分かりやすいでしょうか(笑)
太っている人は放出する熱を増やすため、汗がたくさん出てくることになります。
この法則が適用されるかは分かりませんが、もしこの法則どおりだとしたら
「大型犬は暑さに弱い傾向がある」となりますね~。
しかし、犬は肉球のウラと舌でしか体温調節が出来ません。
これは困りました。人間と違って汗が使えないのです。
犬の実力任せではちょっと厳しそうです^^;
仕方がありませんのでクーラーをかけてあげましょうか^^
電気代はバカにならないかも知れませんが、大型犬を飼うからには
覚悟しなければならない部分だと思います。
それから水をいつも切らさないように気をつけましょう。
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