ケンネルは犬小屋、コフは咳。
つまり「犬小屋の咳」という一見病名には見えない病気になります。
どうしてこんなに曖昧なんでしょう^^;
それは原因が曖昧だからなのかも知れません。
3人寄れば文殊の知恵?
主な原因は、ウイルスである犬パラインフルエンザと犬アデノウイルスⅡ型、
それに細菌のボルデテラです。
これらは全て気道に炎症を起こす病原体となりますが、
一つずつの強さはそれほどでもありません。
弱っちいウイルスと細菌なのです^^;
しかし、奴らは弱いなりに工夫してきます。
なんと集団でいっぺんに感染し、症状を出そうとしてくるのです。
どんな時に罹りやすい?
何しろやつらは弱っちいウイルスと細菌。
元気な犬相手では、少し気後れして攻撃が繰り出せません。
そこで犬たちが少しでも弱る時期を、卑怯にも影から伺っているのです。
空気の乾燥した冬は、ウイルス得意の環境 + 寒冷による体力の低下
+ 気道粘膜からの分泌減少(ウイルスを排出しづらい)により攻撃がしやすい絶好の時期。
こ、これはケンネルコフ軍団がやってきそうです(汗)
子犬や老犬は更に抵抗力が弱いので、弱いものイジメ大好きな軍団に狙われない訳がありません。
大丈夫!ワクチンがあります
主な原因となるウイルスは、ワクチン対象です。
ところが・・・ワクチンを打ったからといって完璧ではありません。
先ほど挙げた三種類は、あくまでも「主な三種類」ですからね^^;
そのうち二種類を完璧に防御出来たとしても
弱っちいウイルスや細菌などは他にいくらでも控え選手としてウロチョロしているのです。
治療はどうするの?
対症療法で元気にしてあげましょう^^;
人間の風邪と同様、弱っていますから広い範囲に効く抗生物質で他の病気にかからないようにしてあげます。
咳が多ければ鎮咳薬を使いつつ、栄養のあるものを食べさせて快方へと向かわせます。
通常一週間~10日ほどで元気になることが多いです。
ただ、「風邪だから・・」と言って軽く見ていると、
人間同様肺炎に罹ったりする恐れもありますのでそこは注意が必要です。
どうやって診断しましょう
実はこのケンネルコフ、診断が難しいです。
「咳だからケンネルコフ!」なんて事をやってしまうと獣医失格となります。
言われたら迷う事なく肛門腺ビームを浴びせて病院を飛び出しましょう。
難しい理由としては病原体がとにかく多種類なので、特定が難しいこと。
仕方がありませんので他の危ない病気では無いことを確認したのち、
咳が出ていれば「ケンネルコフの可能性が高いです」となるのです。
「ジステンパーじゃ無い」「フィラリアじゃ無い」「心疾患じゃ無い」など、
他の可能性も消えてないのに「ケンネルコフです」なんて、そんな誰でも出来る
診断は必要ないですよね~。
子犬は特に気をつけましょう
ワクチンが済むまで、子犬は犬群に突っ込ませないように。
ケンネル(犬小屋)コフ(咳)ですからね。
犬がたくさん集まるところでよく出る病気なのです^^;
清潔に、弱らせないように、飼い主自身汚染されないように・・・
ケンネルコフ軍団から守ってあげましょう。
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