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さて、「飼い主編」に続いて今度は「獣医編」。
「もう今夜が山かも知れません」
「いつ亡くなってもおかしくないです。」
そういった発言をする時の獣医の考えとは?
裏の顔を知る事で、いざと言う時に出来る事が増えるかも?
獣医の気持ち
獣医がいざその時に考えなければならない事は二つ↓
・その子と飼い主さんに何が出来るか本気で考える
・トラブルを起こさないように発言しなければならない
この二つが大きく占めていると思います^^;
一つ目はそのまま、獣医としてやるべき事ですので
省略させて頂きまして、今回は二番目についてお話しましょう。
トラブルって?
もし皆さん、「数値を見ると厳しい状態です。今夜が山かも知れません」
こう言われて、次の日に亡くなった場合はどう考えるでしょう。
そう、「可哀想だったね。酷い状態なのによく頑張ったね・・」と
獣医側に責任を求める事はまず無いと思います。
では、「数値は酷いです。でも、まだ何とかなると思います。
この治療とこの検査をやって、治してあげましょう!」と言われて、
次の日に亡くなったら・・・
「そんなにすぐ亡くなるなんて聞いてない!!」
「そんなに酷いならちゃんと教えてくれれば良かったのに!!」
獣医側に責任を求めてしまう可能性があると思います(汗)
これがトラブルです。
獣医側としては、まずこの状態になる事は避けなければなりません。
つまり・・・
・数値はある一定レベル以上の悪化
・治療については、いくつかの方法が頭の中に出来上がっている
・亡くなる可能性は低い。むしろ治る可能性は十分ありそう。
こんな状態の子を受け持っていたとします。
そして、いざ面会。獣医が選ぶ言葉は・・・
「いつ亡くなってもおかしくないです。出来るだけの事はやってみましょう」
となるのです。
「もし亡くなってしまった場合」を考えての対応を取るのです。
これは人間の医者でも同様で、その時に考えられる最悪のパターンを
患者さんにお伝えする事が基本になっていると思います。
他の病気でも一緒ですよ~
命に関わる病気以外でも一緒です^^;
もし皆さん、皮膚病で「感染を起こしている可能性が高いです。
が、もしかすると元にアレルギーが関連していたからかも知れませんし、寄生虫が
住み着いているのかも知れませんし・・まずは抗生物質は最低限必要な状況ですから
使用していきますが、それだけでは治らない可能性が十分にあります。見極めていきましょう。」
と、色々な可能性を叩き込まれていた場合、
もし抗生物質の治療で治らなくても・・
「ああ、先生もそういってたし、頑張って判明させなきゃ」
と、特に不信感を持つには至らないと思います^^;
でも、「感染症ですね。抗生物質で治るでしょう」
と言われ、もし抗生物質で治らなかった場合・・
「全然言ってる通りやっても治らない!あのヤブ医者!」
となる訳です(汗)
違いは一目瞭然。トラブルを避ける為には、考えられる
最悪のケースを飼い主さんに覚えておいてもらわなければならないのです。
本当は「ほぼ確実に治せると思います!だってこうなんだから!!」
と、自信を持って言いたい事でも、今まで散々喰らってしまった
トラブルによって、獣医の発言は非常に弱気になります(汗)
逆に考えようによっては・・獣医がする発言よりも良い結果を
期待出来る事が意外に多いのかも知れません。
飼い主さんの心理との併せ技
獣医側の心理は、ちょっとお分かり頂けましたでしょうか^^;
さて、「飼い主さん編」でお話したケースと併せて考えますと・・
・責任転嫁パターン
⇒獣医がより構えて、安全な発言しかしなくなる。本音はますます隠れていきます。
・調査没頭パターン→この場合も、獣医は構えます。
⇒視界が狭くなっている分、注意人物!と考えます。
・覚悟するパターン
⇒獣医の心理を読めるチャンスすら見逃します。本当は出来る治療があっても相手が諦めていたら無理です。
・八当たりパターン
⇒論外です。何も話は出来ず、トラブル対策が中心になります。
もったいないですねぇ。
落ち着いて相手の心理を読めば、もっと良い方法があるかもですよ(汗)
なので結局・・
「我を忘れず、落ち着いて」
獣医の心理を読み取っていかないと本当に一番良い方法に辿り着けない事があると思います。
人間の場合でも、「余命3ヶ月です」と言われて実際に亡くなるのは
半年や一年、「よく頑張ってくれたよ。余命三ヶ月って言われてたのに・・」
今回のお話と近いものがあるのではないでしょうか。
もし「余命1年です」と言われていて、三ヶ月で亡くなったら・・
「話が違うじゃないか!もっと色々してやりたかったのに!!」と
なってしまう可能性もあると思います。
もちろん、本当に最悪の状況の時も多々あります。
でも、しっかりと話を聞いてみると・・意外と本当の気持ちが
見え隠れしているかも知れませんね^^;
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