してはいけなかった安楽死 老犬介護の悲惨な結末

 

犬は「家族」なのか「動物」なのか「畜生」なのか。

私や皆さんはもちろん「家族です!」派だと思いますが^^;
中には残念ながら「犬畜生」と見ている方々が居るのも事実です。

そんな価値観の違いが引き起こした悲惨な結末とは・・

 

 瀬尾さんと相棒のブン太


北海道の田舎町で一人暮らしをしていたある50代の男性、瀬尾さん。
彼は相棒の柴犬・ブン太と一緒に幸せな毎日を過ごしていました。

しかし、仔犬の頃から面倒を見ていたブン太も気付けば老齢。
幸せな時間はあっという間に過ぎ去り、ブン太の体にもガタが出てきます。

ある日、ブン太は痙攣を起こして倒れてしまい、その後も時々痙攣を起こすように・・
そのうち認知症の症状も見られるようになり、予想外の速さで症状は進行していきました。

ブン太に愛情を注ぎ続けた瀬尾さんでしたが、その速さに体が付いていきません。

痙攣に夜鳴き、咬みつかれたり、ウンチまみれになってたり、ご飯をうまく食べられなかったり・・
仕事の合間を縫いながら介護の日々が続きました。

しかし、今度は無理をし過ぎた瀬尾さんが倒れてしまいます。

 

皆さんは突然自分たち家族の身に何かがあったときに、犬を預ける先は決まっていますか?

 

瀬尾さんは決めていませんでした。
やむを得ず、滅多に会わない叔母に無理やりブン太を預けて
入院することになったのですが、これが悲劇を招いたのです。

 

 瀬尾さん入院からの出来事


なんとブン太を預けた叔母ですが、非常に打たれ弱く
たった一日で介護に音を上げてしまいます。

瀬尾さんでも倒れてしまったのです。
介護は非常に大変なものですから、それは分からないでもありません。
この時点で瀬尾さんに連絡を取って相談していれば、まだマシだったのだと思います。

しかし、この叔母は「犬ごとき」という考えの持ち主だったのが問題でした。

「犬ごときで人間がこんなになるのなら、どうせこの犬も先は長くないし瀬尾さんだって
今後楽になるだろうから、もう楽にしてあげた方がいいに決まってる。」

そんな考えから、ブン太を動物病院に連れていき安楽死を依頼したのです。

通常、安楽死の依頼を簡単に引き受けることなど、まず有り得ません。

しかし、たまたま理解の有り過ぎる(バカ過ぎる)病院で、
たまたま話し上手な(相手に押し付ける)叔母だったせいで
なんと安楽死が成立してしまいました。

 

 

 1週間後


「ブン太がどうしているか心配だぁ。」

「ブン太に1週間も会わないなんてこれまで無かったしなぁ。」

ブン太を思う気持ちのおかげか、予定よりも早く回復した瀬尾さんは
たった1週間で一時退院することになります。
命にかかわる病気だったにも関わらず、驚異的な回復力を見せました。

とにかく早くブン太に会いたい瀬尾さん。
しかし、ブン太の姿はどこにもありません。
叔母が散歩にでも連れていったのか?
そこへ叔母が姿を現します。

「ブン太はどうしたぁ?」

「ああ、えーと・・あの子は安楽死したのよ。その方があなたにとっても良いに決まってるわ。
犬のためにそこまで体を壊すことなんて無いし、きっとあの子も辛かったと思うし、
私も一生懸命ね、面倒みていたんだけどそれが一番だったとおm・・」

 

瀬戸さんは一言も発しませんでした。

そのまま呆然と生きる気力もなくした瀬尾さんは、徐々に体調を崩し、
なんと1ヶ月後には亡くなってしまうのです。

 

 あとがき


ブン太がもし病気や寿命で亡くなっていたのであれば、結果は違っていたのかも知れません。
痴呆がだいぶ進んでいましたので、実はブン太にとって楽な方法だったのかも知れません。

でも、愛犬の最期がこれでは浮かばれませんよね。

これは皆さんの飼い犬にも起こりうることなのです。

皆さんの身に何かがあって・・例えば事故などにあって生死をさまようような事になってしまった場合、
飼っている犬は一体どうなるでしょう。

もしかすると、誰にも引き受けられずに警察経由で保健所に引き取られてしまうかも知れません。
実際、保健所には何らかの理由で飼い主がいなくなってしまった犬や猫の収容依頼が
時々やってくるそうですよ。

年をとっていて病気もあれば、新しい飼い主がどうしても見つからずに
殺処分されてしまうかも知れません。

予想外の出来事があったときに、犬をどうするか。
元気な今のうちに考えておきたいところですね。

 

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