犬の安楽死、猫の安楽死 動物病院と保健所それぞれの方法

シーズー|dog0003-009

 

 

「安楽死」と言う言葉から、皆さんはどんな方法を連想されますか?

「きっと病気の子を安らかに苦しむことなく眠らせてあげるのね」

「保健所での安楽死はガスで苦しんで死ぬって聞いてるぞ!」

本当の安楽死かどうかは後述するとしまして、現在の日本では
一体どんな方法が「安楽死」とされ、実施されているのでしょう。

実は安楽死には動物病院で行うもの一種類と、保健所や動物愛護センターで
行われる安楽死二種類、計三種類の方法があるのです。

 

素材 Material Shop OXYDOL 動物病院で行う安楽死


主に末期がんなどの子に対して、これ以上苦しませないように行われます。

でも、中には「もう飽きたから安楽死して!」「白内障になったから殺して!」
といった身勝手な飼い主の言うことを、お金だけで聞いてしまう病院もあります。
なんで獣医になったんでしょうねぇ。お金のためでしょうねぇ(苦笑)
どうして「みだりに殺した」として動物愛護法違反で逮捕されないのでしょう。

使う薬剤はその病院で普段使っている注射麻酔薬でして、
致死量以上の量を使うことによって眠ったまま死亡させます。
本当の意味で安楽死ではあります。

価格設定は超高額に設定している動物病院が多いと思います。

その理由は

・動物の命の重みを知ってもらう

・安楽死する側の人間の負担

・簡単に安楽死を望む人への抑止力

などなど、その病院によって様々です。
ちなみに私も末期がんの子を安楽死したことがありますが、
その時の料金は8万円とさせて頂きました。
(雇われていた病院の収入なので私への収入は特にありません)

しかし、その価格では言い表せないほどの苦痛を味わいましたよ。

 

素材 Material Shop OXYDOL 保健所や動物愛護センターでの安楽死1 ガス殺


インターネットが発達してきて、その実態が明らかになっているガス殺。
炭酸ガスを使ったものですが、その理屈は「高濃度の二酸化炭素は素早い鎮痛・鎮静作用が得られる」
というものですが、鎮痛・鎮静作用よりも先に呼吸器系や循環器系への負担が先に現れると言われています。

つまり、普通の窒息死です。
苦しいですよね。

更にこの殺処分方法には問題が(元々問題まみれの方法ですが;)ありまして、
子猫や子犬は一時的な仮死状態で生き延びてしまうことがあるのです。
呼吸も浅いですからね。炭酸ガスが効きにくいといのもあります。

そして、仮死状態にも関わらず次に待っているのは焼却処分・・・
仮死状態の子猫や子犬は暖めたり刺激を与えることで息を吹き返すことがありますから・・・
あとはどれだけ恐ろしいことが起こっているのか、皆さんお分かり頂けると思います。

 

素材 Material Shop OXYDOL 保健所や動物愛護センターでの安楽死2 麻酔薬による安楽死


最近ではガス殺を止め、注射麻酔によって殺処分を行う所も増えてきています。

「あれ?じゃあ動物病院と同じ方法?」

そのように見えますが、実はちょっと違います。

動物病院で使う注射麻酔薬は、元々手術などに使うためのものです。
もちろん「心停止のリスクが高い」などの副作用が少ないものを選びますが、
あれ?心停止のリスク?

そう、保健所や動物愛護センターが麻酔を使う目的は「確実に息の根を止める」なのですから、
心停止のリスクのある麻酔薬はかえって都合が良いですよね。

つまり、あえて副作用の強い、動物病院ではすでに使われていないような麻酔薬を使用します。
ソムノペンチルやネンブタールといった薬剤がメジャーだと思います。

このような麻酔薬を大量に注射して本当の意味の安楽死とする訳ですが、
もう一つ病院と異なる部分があります。
それは、「弱っている動物では無く元気な動物を安楽死する」ということです。

麻酔薬だけでは確実に安楽死出来ないことがあるのです。
または、大型犬など麻酔薬だけで完結しようとすると高額になってしまい
予算が足りなくなってしまう恐れがあるというのです。

そこで、確実に苦痛を感じなくなる程度の麻酔薬を投与したのち、
強力な筋弛緩薬を打って確実な死を迎えさせるといった方法がとられることもあります。
呼吸する筋肉も全部動かなくなってしまいますから、間違いなく死亡。

恐ろしいことに、過去にはこれ単独で殺処分を行っていた保健所もあったようです。

生きたまま、意識がはっきりしたまま、呼吸する筋肉も動かなくなってしまいます。
炭酸ガスによる殺処分よりも更に残酷な殺し方かも知れませんね。
筋弛緩薬を使う場合は麻酔で苦痛を味あわせないことが必須です。

 

 

素材 Material Shop OXYDOL どうしてみんな注射麻酔に切り替えないの?


「どうせ予算が・・とか言い出すんでしょ?」

確かに予算の話も出てきますが、大きなセンターであっても数百万円用意するだけで
麻酔自体買い揃えることは可能だそうです。

もし国が出してくれなかったとしても、この改善のために募金でも募れば
あっという間に集まる程度のお金だと思います。

でも、一番の問題を忘れていると思いませんか?

そう、注射麻酔による安楽死も人間の手で行われるんです。

ガス殺ももちろん人の手ですが、実行は機械です。
スイッチを押す人への配慮がされている施設もあります。
(その人には現場もその後も見えないようになっているなど)

当然ですよね。
スイッチを押している人が悪いのでは無く、捨てたり無駄に増やした人が悪いんです。

しかし、注射麻酔で安楽死しようとすれば、元気な犬や猫を抑え込む人、
注射で薬剤を投入する人はその場から逃れようがありません。
自分が殺しているということを実感し続けることになるでしょう。

この抑え込む人や注射を打つ人は誰かと言うと・・・
ビーグル獣医と一緒に勉強していたような、犬や猫が大好きな、行政の道に進んだ獣医師なのです。
その負担は計り知れません。

そして、すでに今現在それを実施している獣医師がたくさん居るのです。
動物のために少しでも良い方法を・・・と同時にこういった方々が居るということも
絶対に忘れてはならないことだと思います。

やはり無責任な人を根絶して殺処分を無くすことしか、根本的な解決にはならないのです。

 

 

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