ステロイドは怖い薬? 犬や猫によく処方されるステロイドの解説

 

犬や猫に動物病院でよく処方される代表的な薬、「ステロイド」。

当サイトの「その名もステロイド獣医!」でもお話している通り、
そのあまりにも便利な作用のせいで怪しい使われ方をすることも多い薬ですが・・

 

さて、そもそもステロイドはどんな薬で本当に危ない薬なのかどうか^^;

今回はもう少し掘り下げて、ステロイドについてお話してみましょう~。

 

薬箱-RED ステロイドの主な効能?


アレルギーの場合を例にあげてみましょう。

アレルギーは体に入ってきた「そんなに攻撃しなくていいのに・・」という物質に対して
体が一生懸命総攻撃をしかけてしまうことによって起こる症状です。

そんなアレルギー症状に対して、「ちょっと待て。落ち着けバカ」と
なだめてくれるのがステロイドなのです。
とりあえず、体で起こっている攻撃を全体的になだめます

全体的になだめてしまうので、細菌やウィルスなどの本当は倒さなければならない敵に
対しても攻撃をやめてしまう・・つまり、鼻水や熱は収まって元気いっぱいに見えるけど、
実はどんどん細菌やウィルスに蝕まれてるなんてことも起こり得ます。

これが「ステロイド獣医」が問題とされる点なんですね~(汗)

 

薬箱-RED ステロイドは薬特有の成分?


例えば動物病院で一番処方されることの多い「プレドニゾロン」。

これは「コルチコステロイド」という種類の物質になりまして、
実は我々の体で普通に作られている物質だったりします^^;
薬特有の成分ではないんですよ~。

さて、体で普通に作られているのに「ステロイド?あらぁ・・気をつけないとぉ・・」などと
噂されてしまうのはどうしてなのでしょうか?

 

薬箱-RED ステロイドは危ない?噂になる二つの理由


【色々とある副作用】

副作用と言えばステロイド、と言われるとおり確かに副作用が多いです^^;
詳しい副作用は次の項目でご説明しましょう~。

 

【ベン・○ョンソン】

筋肉増強剤(ドーピング)で使われている薬がステロイドだから。
ただし、これは「アナボリックステロイド」という種類で
薬で使用するステロイドとは全く異なるもので副作用も強いのです。

 

 

薬箱-RED ステロイドの副作用1 副腎機能の低下


ステロイドを作っている臓器は「副腎」ですが、「ちょっと落ち着けよバカ」と何回も
言い続けてしまうと、徐々にサボり始めてしまいます(汗)

 

体がサボり始める例として、似たような物ですとタバコが分かりやすいでしょうか^^;

 

ニコチンを外部から摂ると、元々体で作られていたある物質の代わりをします。
外からニコチンを補充し続けると、体はある物質を作らなくなってしまうのです。

タバコを止めると、イライラする⇒ある物質はイライラしなくなる物質だったのでは?
などと推測も出来てしまいますね~。

実際、ニコチンが代わりをするアセチルコリンという物質は副交感神経を動かし、
落ち着かせる作用+胃腸の運動増強が主な働きの一つとなります。
つまり、たばこを吸うと落ち着いてウン○もしたくなります(笑)
たばこをやめるとイライラして便秘になります(笑)

 

これと同じようなことがステロイドでも起こるということですね。

 

使用が長期になると(大体ですが高用量で2ヶ月、低用量で1年くらい
副腎がステロイド製造をサボり始めます。

そこで突然ステロイドの補充を中止してしまうと・・

元々必要だから作っていたステロイドが手に入らないことに(汗)。
これは「アジソン病」と呼ばれる状態です。

ステロイドが行っていたエネルギー源を作って!と言った指示や
電解質のバランスを保って!という指示が無くなりますので、
低血糖を起こしたり、電解質のバランスが崩れて死んでしまうこともあるのです。
(本当に危ないです^^;)

 

薬箱-RED ステロイドの副作用2 ステロイド過剰


ステロイドが足りないのも問題ですが、ステロイドを補充し過ぎても問題は起こります。

まず、「とりあえず攻撃をやめて!」の指示が過剰に行われますから、感染症が起こりやすくなります。

 

また、先ほど少し触れましたが,実はステロイドはエネルギー源を作って!という作用も持っています。

これは「脳みそフル回転させなければ危険な状況だから早く血糖値上げて!」
という状況でステロイドが放出され、血糖値をガッツリ高めて火事場のクソ力を出させるという、
そんな作用になります。

 

ちなみに血糖値の上げ方としては、

・すでにある血糖を減らさないようにする

・新しく血糖を作る

という二つの方法で実施されます。

 

まずは血糖を減らさないようにする作用について。

 

血液から糖を吸収させるのは「インシュリン」。

つまり、インシュリンの作用を邪魔してやれば血糖が減らないですよね~。
なので、ステロイドはインシュリンの作用を邪魔して、いざという時のための
血糖を確保しようとするのです。

しかし、皆さんご存知のとおり、この「血糖が低い」情報は真っ赤な嘘。
外から投入したステロイドによる偽情報なのです。

ということは、糖は全然足りているのにインシュリンが邪魔されますから、血液に糖が溢れかえって・・
そう、糖尿病の完成は間近です(汗)

 

そして次は新しく血糖を作る作用について。

 

血糖の材料に使われるのはタンパク質です。

このタンパク質の源は主に筋肉。

つまり、ステロイド過剰状態ではいくら犬や猫に筋トレさせようが、
筋肉は落ちてしまいます

また、エネルギー以外の目的にタンパク質を使っている場合じゃありませんので、
次々と生まれ変わらせなければならない皮膚なんかも、ちゃんと作ってくれません^^;
皮膚が薄っぺらくなってしまいますね~。

 

また、あまりにも細かい話になってしまうので今回は避けますが、
ステロイドは「体に水分が多いから尿で出して!」という指示も出します。
これももちろん偽情報^^;

じゃんじゃん尿を出しますので、喉が渇いてたくさん水を飲みます。

なので、症状としては多飲多尿となる訳ですね~。

 

薬箱-RED ステロイドのメリット


色々と怖~いお話をしてきましたが、それでも大変なメリットがあるから
獣医たちは今日もステロイドを処方する訳です^^

 

・ほぼ100%効果が出る

・効果の発現が早い

・費用が安い

・犬や猫は舐めてしまうので塗り薬が使いにくい⇒ステロイドの内服の機会が多い

・人よりはステロイドの副作用が出にくい

 

こんな理由があるからなんですね~。

 

薬箱-RED まとめ 何に気をつけるかだけ覚えておきましょう~


・使う目的がハッキリしているか

・長期になり過ぎていないか

・用量が多過ぎないか

 

などに気をつけましょう。

使い方としては、最初にドカーンと効かせてあげて徐々に減らす方法が一般的です。
とにかく使う目的がハッキリしていて、しっかりとした説明のある事が重要ですよね^^;

そこがしっかりしていれば、これだけメジャーで便利で副作用の多い(苦笑)薬です。
変な使い方はしていないでしょうから、安心して指示に従うとしましょう~。

 

 

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