獣医に恋した高校生 戸惑ったビーグル獣医の昔話

 

 

実は二回ほど、飼い主さんからラブレターを
貰った事のあるビーグル獣医。

「俺に近づくと、このラリキシンで火傷するぜ!」

「あなたのラリキシンになら燃やされてもいい!!」

そんな情事が繰り広げられていました(嘘)

二回の内の一つは、ビーグル獣医が非常に悩んだ、
高校生によるアタックでした。
今回はそのお話でも紹介してみましょう^^;

 

 二回目の診察でした


一回目はワクチン接種の時。
普通に、ワクチンのお話や飼い方のお話をして、
普通に、お帰りになった飼い主さん。

まだ高校生くらいの女の子だったでしょうか。
茶髪にちょっと奇抜なビジュアル系の格好をした子でした。

私が昔勤めていた病院では、気に入った先生の
指名を出来るような方式になっていました。
カルテにはその先生の指名札が入り、原則として
その先生しか診る事が出来なくなります。

通常はワクチン接種程度で指名札が入り始めるなんてことは無いのですが、
どうしたことか、その高校生が二回目に私を指名してきたのです。

待ち時間が半端無く長くなってしまうと言うリスクもある中の、
「でもこの先生に診てもらいたい!」熱い飼い主さんによる指名札。

「一回しか診察してないのに・・良いのかねぇ・・でも嬉しいですね」

そんな軽い気持ちで二度目の診察を迎えた私。
ところがそれは、苦悩の始まりとなりました(汗)

 

 いきなり渡されました


二度目の診察を終え、「では、また来週。お大事に~」と
送り出したビーグル獣医に、彼女は突然手紙を渡します。
それは見るからにラブレター。

「いや、申し訳ありませんが、飼い主さんと特別な関係に
なる事は出来ない決まりになっています^^気持ちはとっても
嬉しいですが、おそらく応えられないと思いますので・・・」

丁重にお断りしたビーグル獣医。

※注 実際はドモりまくってたなんてことはありません。絶対。

彼女も「そうですか・・・分かりました」と、一瞬諦めたように
見えましたが・・・・ここからが大変でした(汗)

 

 

 や、休ませてくれえ・・・


その動物病院には当直制度があり、私の当番は一週間に1~2回。
救急対応、入院管理などの為に病院に泊り込みます。
獣医師1人ずつ、交代で当番をこなしていました。

電話が来れば、もちろんすぐに出て対応する訳ですが・・・

彼女はどこでどう私の当番を知ったのか、
私の当番の日になると必ず、その子からの電話がやってきました。

「あの・・・調子が悪そうなんですけども、今から診てもらえませんか?」

「そうですか・・では連れてきてあげてください^^;」

もちろん、飼い主さんからのこういったお電話で
断る事など出来る訳がありません。
すぐに来てもらうよう伝えます。ところが・・・

来た犬は元気も元気。
全く体調に問題なく、チャカチャカと走り回っています(苦笑)
おおーーい・・・それは止めてくれぇ・・・

彼女は毎回、私の当番の日に何かしらの理由をつけて
診察にやってきました。

「高校生でこんな時間は危ないから、親も一緒に来るようにしてください」

しかし、「今回は親が夜勤で・・」「今回は母が風邪で・・」と
聞き入れてもらえません。

わずかな休息の時間も奪われ、疲労困憊のビーグル獣医。
そんなある日、一つの事件が起こります。

 

 その日も彼女から電話が来ました


「家で吐きが続いているんですが・・診てもらえませんか?」

また彼女からの嘘の電話がやってきました。
私は仕方なく、夜中の診察を行う訳ですが・・・・

実は、その日の入院室には余命わずかな子が居ました。
診察室にもしっかりと心電図の音が聞こえるように設定し、
彼女の元気そうな犬の診察をするビーグル獣医。

その時、突然心電図が乱れます。

・・・・駆けつけた時には、その犬は息を引き取っていました。
救命処置を始めても反応は見られませんでした。

診察室は1階、入院室は3階・・・いつもであれば3階に待機していますから
もっと早く救命処置が開始出来たと思います。

私は、こういった難しい状態の子でも、最後の最後、
一瞬だけでも、飼い主さんと会わせてあげる事をとても重要視しています。

処置を行いながらでも、人工呼吸をしながらでも、
きっと、心臓の動いている状態でその子に会う事は
飼い主さんにとっても、その子にとっても、 大切な時間だと思っているからです。

それが不可能となりました。
可能性があったのに・・です。
急いで飼い主さんに電話をするビーグル獣医。

そこへ、彼女が言葉を発します。

「ごめんなさい」

その時、私の中の何かが切れました。

「ごめんなさいで済む事じゃないんだよ!!!飼い主さんはねえ、
この子と話す最後の機会を失ったんだよ!!何年一緒にこの子と
生活して、どれだけ大切だったか分かる!?分かってないよねえ!」

声を荒げて、私は怒ってしまいました。
彼女は何も言いませんでした。

 

 彼女は消えました


今では、あれ程までに声を荒げた事を後悔しています。

相手はまだ高校生。
きっと、そんな事態になるとは思わず、突然の事態に
戸惑った本気のごめんなさいだったのかも知れません。

それから、彼女による電話・診察は一切無くなりました。
一体今はどうしているのでしょう・・・

 

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