脱サラ金儲け主義個人ブリーダー 素質の全く無い繁殖家

 

 

「ブリーダーって儲かるらしいよ・・」

「結構簡単に出来るらしいよ・・」

お金儲けを目的として、個人でブリーダーになる方は今も昔もたくさん居ます。

別にブリーダーをやるな!と言っている訳ではありません。
でも、もしお金儲けでやろうと考えている方がいらっしゃったら、
この記事を読んでちょっと考えてみてくださいね。
そして、飼い主さんはこのようなブリーダーからは仔犬を買わないように
気をつけましょう~。

 

 あの~、ブリーダーになりたいんですけども・・


私の知り合いのブリーダーAさんの所に訪れたBさん。

Bさん以外でも、ブリーダーになって金儲けしたい!と思う方の
質問は大体一緒で、以下のような内容になります↓

「あの~、ブリーダーってどうやってなれるんですか?」

「犬はどうやって手に入れたらよいんですか?」

「協力してもらえませんか?」

ちょっとくらい調べてきておくんなせえ(汗)
「協力してもらえませんか?」なんてずうずうしい事この上ありません。
もちろん、簡単に協力なんてしてもらえません。
返す言葉はいつも一緒です。

「ブリーダーは知識も経験も必要だから、簡単になれるもんじゃ無いですよ」

当たり前の答えとなります。
ほとんどの方は「もういいです!」と他のブリーダーさんを当たることになり、
同じ事を言われ続けて諦めるのですが・・このAさんは諦めませんでした。

 

 勝手に始めます!


Bさんは、一旦は引き下がりましたが、
自分でブリーダーを始める方法を知ったようです。

その昔、ブリーダーは簡単になることが出来ました

それこそ平成18年までは法律が無いも同然でしたので、
あくまで「なるだけ」なら簡単だったのです。
もちろん、上手くいくかどうかは別です(汗)

Bさんは再度、Aさんの元へお願いに来ましたが、
それで断られると「自分で勝手に始めます!」と言い放ちました。
それはまずいです。絶対に上手くいくはずなど無く、
不幸な仔犬が増えてしまうのは目に見えています。

やむを得ず、AさんはBさんに協力をする事にしました。

 

 Bさんのブリーダーになりたい理由


以前はトラックの運転手。
事故を起こし、職を失い、借金まみれ。
何とかしてお金を儲けなければ、非常にまずい状態だったそうです。

そして問題なのは犬に関する知識が皆無である事。
この時点でブリーダーになる資質はゼロでしょう。

 

 ブリーダーの始まり


Aさんは一生懸命、知識を叩き込みました。
それが身になっているかどうか疑問でも、不幸な犬が増えないようにです。

最初は3頭の犬から始める事になりました。
血統の良い、遺伝的にも問題の無い犬です。

A「私が提供する犬以外は絶対に仕入れないでくださいね。
病気を持ち込んだり、血統が怪しい犬も居ると思いますから。
まずはこの子たちを可愛がってあげてくださいよ」

B「ええ、ええ、分かりましたよ。で、いつ増やせばいいんですか?」

A「繁殖はもっと先です。まずは、犬をよく知ってあげてください」

B「そうですか。まあ分かりました。ではこれで・・」

本当にわかっているのかどうか・・
一ヵ月後に、またBさんはやってきます。

 

 やはりわかってないBさん


B「どうも、こんにちは。あの、新しい犬欲しいんですけど」

A「どうしてですか?」

B「早くたくさんの犬を繁殖したいんです」

A「あせると絶対に失敗しますよ。まだ犬を飼った経験も一ヶ月でしょ?」

B「そうですか、分かりました」

そして更に一ヵ月後の電話・・・

B「やっぱり犬を集めてもらえませんか?」

A「最初はその三頭で行きましょう。あせらないでください」

B「どうしても早く増やしたいんですが・・・」

A「居ません。切りますよ」

だんだんAさんも腹が立ってきます。
当たり前ですよね(汗)

 

 

 約束違反


AさんはBさんが上手くやっているか、
最初にお話してから3ヶ月後に見に行く事にしました。

設備もしっかり整っていて、一見文句の無い状況。
Aさんはホッと胸をなでおろしました。
そして更に奥の部屋を見に行こうとしたのですが・・

B「ちょ、ちょっと待ってください。向こうは今ダメなんです。」

A「ダメって何がですか?」

B「とにかくダメなんです。勘弁してください」

明らかに怪しい。
Aさんは無理やり奥の部屋に行きました。
そこで衝撃の事実を目のあたりにします。
なんと、そこには8頭の犬が居ました。

A「この犬はなんですか?」

B「ある繁殖家から買ったんです。」

A「私が提供する犬以外はダメだって言ったでしょう!!」

B「すいません」

A「しかもこれ、騙されてるんじゃないですか!?血統書は!」

B「後から送られてくるんですが、まだ来てません」

A「騙されてますよ。この子は雑種だと思うから。」

B「え?そうなんですか・・・でもこの子だけですよね?」

A「そういった問題じゃないでしょう!もういいです。さようなら」

B「すいません」

勝手に新しい犬を8頭も仕入れてしまいました。
そのうち一頭は明らかに雑種。
血統書も当然送られてこないでしょう。
Aさんで無くとも、匙を投げるような状況だったと思います。

こんな身勝手な状況にも関わらず、その後も
「良い犬は居ませんか?」と言うしつこいBさんの電話が来たそうです。
もう救いようがありません。

 

 ついに恐れていた事が起こりました


そしてついに恐ろしい事件が起こってしまいます。

こんな状況ですから、Bさんはもちろん繁殖にまで手を出してしまっていました。
そして子犬も産まれてしまっていたのですが・・・

ブリーダーを始めてからわずか5ヵ月後、非常に強い感染力を持ち
子犬を全滅させるパルボウイルスによる感染症が発生します。
Bさんの所有していた仔犬は壊滅状態になりました。

生き残ったのは親犬だけ。
実に無くなった子犬は10頭以上。

予測は出来ましたが、目も当てられない状況となりました。

 

 それから・・・


有り得ない事に、Bさんはまだブリーダーを続けているそうです。
それも「前回のは運が悪かった」と全く自分の非を認めていません。

平成18年に法律の大改正があり、ブリーダーなどの動物取扱業を
行うためには登録が必要になりました。

昔のBさんが今現在、新規でブリーダーを始めようとするならば
登録の要件を満たさないのでブリーダーになることが出来ないのですが・・

実は「半年以上の実務経験」があれば登録が出来てしまうのです。
つまり、Bさんは何の問題もなく、法律にはじかれることもありません。
あくまで法律では問題が無いだけですけどね・・

くれぐれもこんなブリーダーから子犬を買う事の無いよう、
皆さんはお気をつけくださいね。

 

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