寄生される凄腕獣医! 受け継がれない高等技術

 

「将来は獣医になってこの子たちを全員助けてやるんだ!!」

小さな頃から犬や猫の事しか頭に無かった動物バカのKさん。
起きていても寝ていても彼の頭は動物の事ばかり・・
枕元にはいつも動物に関する本が置いてありました。

大学に入ってもKさんの動物バカは続き、枕元には相変わらず何十種類もの教科書。

「あれ?もしかするとあの病気はこういうことなんじゃないか・・?」

夜中に突然起きだして教科書を読みふけるのは彼の日課のようなものでした。
彼の観察力と知識は凄まじく、その当時解明されていなかった病気でさえ
独自の目線で次々と暴いていきます。

すでに彼が素晴らしい獣医になるであろうことはこの時点で誰もが分かっていました。
そう、その頃は・・・

 

 念願の動物病院開業


大学を卒業した彼は、掘っ立て小屋で小さな小さな病院を開業しました。

凄まじい知識と観察力を持った彼の病院は瞬く間に評判となり、
掘っ立て小屋の周りは常に車でいっぱいの状況。
寒かろうと暑かろうと、外には常に患者さんが列をなしていました。
そこでKさんは対策を考えるのですが・・

「病気の子を外で待たせるのは可哀想だ。」

飼い主さんの事は全く気にしていません(笑)
彼の頭には動物の事しか無いのです。

早速、全財産+限度額の借金をこさえて掘っ立て小屋のすぐ隣に
大きな病院を建ててしまいました。

なんとここに来ての駐車場数削減(笑)
でも、もうお金はありません。

飼い主さんは困り果てるものの、動物たちが外で待つ事は無くなりました。
Kさんはそんな獣医なのです。

 

 

 でも、病院はもちろん流行ります


皆さんもこんな獣医だったら、駐車場が無かろうと診てもらいたいですよね^^

病院は当然大盛況で、あっという間に借金も返済、
気付けば「日本でも指折りの獣医」なんて呼ばれるようになっていました。

しかし、人の雇用などにはサッパリ興味のない彼。
なんとこの時点で受付すら居ないという有り得ない状態だったのです。

そこへ、心強い味方(?)が登場します。

「兄ちゃん!俺たちが病院を手伝うよ!動物の事だけを考えなよ!」

二人の弟たちが病院の手伝いに名乗り出ました。
そう、ここがこの病院のターニングポイントになりました・・

 

 弟たちはどんな人?


弟たちは二人とも30代半ばでしたが、二人揃って無職歴10年以上(苦笑)。

実家暮らしでパチンコや女遊びばかりを繰り返し、時には喧嘩沙汰も・・
いわゆるチンピラでしたが兄ちゃんはそんな事には興味がありません。

「動物の事だけ考えらえれるよ!」

この言葉だけがKさんの興味を惹きました。

そしてもちろん弟たちの目的は「兄ちゃんを助けたい」ではありません。
ガッポガッポと儲かりはじめ、もはや潰れる心配の無い大病院が彼らの狙いでした。

 

 弟たちのその後


次男は手伝い始めた一か月後にジャガーの新車を購入しました。

三男は手伝い始めた1年後にアパート経営を始めました。

数年後、二人は協力(?)して近くの山を買い取りました(苦笑)

そう、明らかに動物病院の儲けは彼らの懐にばかり入っています。

でも、そんなことはKさんにとってどうでも良いのです。
ひたすら動物の事だけを考えられる毎日だけで十分でした。

「利益はそこそこ上がってるからさ。兄ちゃんが必要な分を言ってもらえれば
俺たちが病院の利益から兄ちゃんにお金渡すからね!」

そこそこ(苦笑)。この時点で年商1億近くなのに^^;

 

 就職希望の獣医たち


Kさんに教えを請いたい・・という獣医もたくさんやってきていました。

しかし、Kさんは動物にしか興味がありません。
少しでもKさん未満の治療をしようものなら、「どきなさい。」と患者さんを奪い取り
すべて自分で治療してしまうという徹底ぶり。

手術なんて以ての外で、Kさんは誰にも手術を行わせませんでした。
それでも、何とかKさんの技術や知識を盗もうとひっきりなしに獣医はやってきます。

実はこの状況、弟たちにとっては願ってもない状況なのでした。

Kさん未満の治療と言っても、ワクチン接種や皮下点滴、耳掃除、爪きりなどには
さすがのKさんもあまり口出しをしてきません。

あまり口出ししないこれらの予防などを、弟たちは雇った獣医にやらせたのです。
もちろん「研修だから」という理由をつけて最低賃金での雇用ですよ(苦笑)。

朝9時に出勤して午後5時に帰っていることにされていたそうです。
病院まだ開いてるじゃないですか(笑)。悲惨ですねぇ。

この棲み分けにより、Kさんの病院ではより多くの患者さんを診ることが出来るようになりました。
しかし、雇われ獣医にKさんの技術を見る時間なんて与えらえていません。
より多くの患者さんを捌くだけの、弟たちにしかメリットの無いシステムなのです。

待ち時間が減るので患者さんにもメリットなのでは?と思われるかも知れませんが、
この病院になんで来ているんですか?(笑)
院長に何も教えてもらっていない新人獣医の予防を受ける為に並んでいるんですか?ってことです^^;

雇われた獣医は挫折して去り、また新しい獣医が入ってきて・・
Kさんの技術を引き継ぐ人は現れる気配すらありませんでした。

 

 Kさんの動物病院 その後・・


病院を設立して25年くらいが経ったころ・・
ここでこの病院に危機が訪れます。

なんとKさんが肝臓を悪くして倒れてしまったのです。
いつ退院出来るかは全くの未定。

残されたのは、どうしようもない弟たちと言う事を聞くしか能の無い受付と何も知らない新人獣医。
獣医がたくさん居るのに治療ができないという不可解な状況に陥ります(苦笑)

でも、病院をしばらく閉めてしまうと収入がなくなってしまいます。
もちろん弟たちならどうするか分かりますよね^^;
ええ、病院を開け続けたのです。

何も知らない新人獣医たちの元に集まる1日100人近くの患者さん・・
カオスです(苦笑)

いつまで経っても患者さんが減ることは無く、新人獣医たちは思いがけない方法で
ベテラン獣医へと育っていくのでありました。

 

 あとがき


実はこの病院、今も院長があまり診察に出られずにこの状況が続いています。

弟たちは二人で10億くらいは儲けたんじゃないでしょうかねぇ・・

ちなみにビーグル獣医にも弟が居ますが、「助けるよ!兄ちゃん!」となかなか言ってきません(笑)
儲かっているように見えないんでしょうねぇ(涙)

 

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