応急処置 犬の緊急事態に

 

犬を飼っていれば、いや、他の家族の方でもそうです。
「緊急事態」の可能性というのはいつでも誰にでもあるものですね。
そうなった時に何をすればよいか、それを知っておくだけでも
犬の命を救えることがあります。

 

 意識を失ってしまった時


原因は病気、事故、色々考えられますが、
意識を失ってしまった時にまずすることは呼吸の確認です。

胸が動いているか(呼吸で肺が膨らんでいるか)を見て確かめましょう。
胸の圧迫が禁忌な時もありますから、絶対に触らないように確認してください。

息をしていれば、すぐに病院に運びます。
もし息をしていない場合、理由は二つ考えられます。

・気道がふさがっている

・自分で呼吸が出来なくなっている

 

気道がふさがっている場合は大抵、
舌が気道をふさいでいることが多いです。
この場合は舌を引っ張り出してください。

実際に手術の時に、獣医は必ず舌を引っ張り出して固定しています。
麻酔をかけたら意識を失っていますからね。

また、自分で呼吸が出来なくなっている場合。
これはより重症ですから、人工呼吸をしながら病院に急いで連れて行きましょう。
ただし、振動や急ブレーキはワンちゃんの状態を悪化させてしまう
恐れがありますので、安全運転かつスムーズに運ぶようにしましょう。

人間の救急車の運転を見ていると、スムーズなのが分かりますよね。

人工呼吸のやり方
1.犬を横向きに寝かせます
2.口を完全に手で密封して、鼻の穴から強く息を吹き込みます。(一回3秒くらい)
3.約一分間犬が自力で呼吸できるかどうか観察します。
4.呼吸が再開しなかったらもう一度人工呼吸します。*あまりにも強く吹き込みすぎると危険です。吹き込んで抵抗を感じたら止めましょう。

 

 出血してしまったら


出血がひどいときは、病院に運ぶ前に止血をしてあげる必要があります。
出血を止めるために、心臓から運ばれてくる血液を止める、つまり、
傷よりも少し心臓に近い部分を包帯やタオル、手ぬぐいなどで強くしばってください。

確実な方法としては、巻いた後、その内側に棒を入れて
少しねじってやると強力に縛れ、止血しやすくなります。
止血が完了したら病院に連れて行ってあげてください。

 

 やけどをしてしまったら


やけどには2種類考えられます。

・直接熱いものを触ってしまった場合

・化学物質をかぶってしまった場合

 

直接熱いものに触れてしまった場合のやけどでは、
まずやけどの部分を冷やすことが大事です。
まず、水でやけど部分の汚れを落とします。

そのまま水で冷やせればいいのですが、ワンちゃんは
大抵嫌がりますので、氷嚢などで冷やしてあげるといいでしょう。

やけどが広い範囲にある場合には、
清潔なガーゼなどでその部分を覆いましょう。
また、飼い主の判断で薬などを塗ってしまうと
悪化することも多々あるのでやめときましょう。

 

化学物質をかぶってしまった場合のやけどでは
皮膚が真っ赤になって非常に痛がります。

可能であれば石鹸や犬用のシャンプーで
この化学物質を流し落としてください。

繰り返し何度も洗うことで化学物質を落とすことが出来ます。
しかし、だいたいは嫌がるのでその場合は無理に処置せず、
そのまま病院に連れて行きましょう。

やけどは皮膚のバリアーがなくなった状態です。
つまり外のばい菌から体を守っていたものが無くなっているので、
感染の危険性が非常に高くなっている状態ですので、
出来るだけ早く病院に連れていってあげてくださいね。

 

 

 骨折してしまった場合


最近は交通事故は激減して来ています。
しかし、小型犬を落っことしてしまったりと、
他の原因での骨折はありますのでその場合。

骨折したらその部分は絶対に触らないでください。
骨折部分に添え木を当てて軽く縛って、平らな板や
ダンボールなどを担架にして運びます。
添え木は固定できれば何でもいいです。
ダンボール、雑誌などを利用してもいいでしょう。

もし、骨が突き出しているような骨折であれば、
傷口を消毒液で消毒して、清潔なガーゼなどでその部分を
覆ってから同じく添え木、担架で連れて行くようにしましょう。

 

 毒のあるものを食べたり飲んだりしてしまった場合


いわゆる中毒です。
この中毒というのは、毒物一つ一つで処置法がだいぶ違ってきます。
なので、最初にすることは「動物病院への連絡」です。

何を飲んだかを伝えることによってその応急処置を教えてもらえます。
更に、動物病院側で治療に必要なものを準備して、
犬を待ち受けることも出来るのです。

応急処置を済ませたら、毒物の名前をメモするか、容器ごと持っていきましょう。
間違えて覚えていたりすると、間違った治療につながることにもなりかねません。

 

 物を飲み込んでしまった場合


まず飲み込むと危険なものは犬の近くに置かないことですが、
もし飲み込んでしまった時。

食塩を与えると吐き出させることが出来る場合が多いです。
体重10kgの犬の場合、5-20gの食塩を舌の上に置くと、
数分で飲み込んだものを吐き出すことがあります。

しかし、胃からすでに腸に行ってしまっている場合や、
吐き出させると危険なものでは、この方法は行わないようにしてください。

危険なものというのは、とがったもの、刺さるものなどです。
食道を傷つける可能性がありますからね。

吐き出させることが出来ない場合は病院に連れて行きましょう。
いや、吐き出しても傷ついていないか、念のため病院に行ったほうが良いでしょう。
病院では胃の中に異物があっても、胃カメラを使って8割近く
手術なしで取り出すことが出来ます。

そして、もう一つ、異物が食道に詰まっている場合。
これは緊急を要します。
気道を圧迫して呼吸が出来なくなっていることが多いからです。

吐き出させられるものであれば、すぐに吐き出させてください。
応急処置の仕方は後ろ足を両手で持ってぶら下げ、何回か上下させます。

人間が二人いる場合は、もう一人が背中をパーで
強く叩くと出てくることがあります。

大型犬の場合は横向きに寝かせて、背中に手を当ててグッと押します。
応急処置が出来ないと分かった場合はすぐに病院に運びましょう。

 

 食べ物を詰まらせたら・・


食べ物を詰まらせた場合は他の異物を詰まらせた時と違います。
だいたいは奥に押し込む方が効果的となるのです。
傷つけないように気をつけつつ、棒状のもので奥に押し込みましょう。

先が丸いものの方を選んで使うといいです。

 

 熱射病・日射病


もちろん夏に多く発生します。
予防としては夏の昼間に散歩に出したり、
車の中に放置したりしないことです。

もし、熱射病・日射病にかかってしまうと、
深刻な場合は脳に障害がでて死んでしまいます。

応急処置は、まず涼しい場所に連れて行くこと。
そして、ホースなどで犬の体に直接水を2、30分かけます。
または、バケツでも風呂でも水をためて、頭以外を2、30分浸します。
その後、氷嚢で頭を冷やしながら病院に連れていくといいでしょう。

 

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