え?血が合わないから輸血できない? 犬の輸血とクロスマッチ試験

 

 

「Ht値(赤血球の割合)がだいぶ低くなっていますねぇ・・輸血しましょう。
まずは供血犬を探して、血が合うかどうかの試験をします。」

「え?輸血出来ないなんて事があるんですか?血液型の問題なんですか?」

まず、ペットに輸血が出来る事自体を知らない方も
いらっしゃるとは思いますが、そこは強行突破で(笑)
今回は輸血が出来ない?なお話。

輸血と言うと、「O型にはO型の血を入れれば大丈夫なのよね!」と
考えてしまうかも知れませんが、実は人間の場合でもそれだけでは輸血が出来ません。

例えばO型のビーグル獣医に、O型のキムタクの血を「格好良くなるかも!」と
適当に輸血してしまうと、ビーグル獣医がより不細工な死に方をしてしまう
可能性もあるって事です(苦笑)

実は、輸血の前にはクロスマッチ試験と言う特殊な試験を行う必要があります^^
この試験で良い結果が得られないと・・・

「残念ですが、血が合わないので輸血出来ません」

「え?どうして?血液型はあってるんですよね・・酷い!信じてたのに!」

と言う一悶着が起こってしまう事になるのです^^;

さて、一体このクロスマッチとは何なのか。
そして同じ血液型でも輸血出来ない理由って?

 

 クロスマッチ試験を教えて!


クロスマッチ試験を簡単に言うのであれば、
「血と血を混ぜて固まるか固まらないか」を確かめる試験となります。

ビーグル獣医とキムタクが出会うと、違う意味でビーグル獣医が
固まってしまうかも知れませんg・・

「どうでもいいって。早く次。」

はい、すみません(泣)

血がどうして固まるかと言いますと、せっかく入れた血を
体が攻撃してしまい、血がただのゴミと化してしまうから固まるのです。

輸血してしまった後にそれが起こると、体の中は血の塊まみれになってしまい
血管が詰まって死んでしまいますよね~。

なので、あらかじめ血と血を混ぜ合わせて確認するテストって事なんですよ。

 

 実際はどうやってやってるの?


まず血液が何から出来ているかからお話しましょうね~。

血液は、皆さんお馴染み「血球」と液体成分「血漿(血清)」
分ける事が出来ます。

で、液体を入れても酸素を運んでくれませんから、
貧血のときに増やしたいのは「血球」です。

そして、入ってきた血球を攻撃してしまう軍隊が居るのは「血漿(血清)」。

一番知りたいのは、血球を入れた時に総攻撃にあわないか?ですから・・
もう皆さんお分かりですね~。

あげる側の血球と、もらう側の血漿(血清)を
混ぜてみれば良い
のです。

それで、総攻撃に合わなければOK!さあ輸血!となりますが、
固まってしまうとアウト!その場で輸血断念・・となるのです。

実際はあげる側の血漿(血清)ともらう側の血球と言う逆パターンも
確認して、あとは自分の血球と血漿で固まらないかどうかも
しっかりと見ているんですけどね^^;

 

 

 犬は特殊?一回目の輸血


人間の場合は、輸血一回目からクロスマッチが必要となりますが、
犬の場合は、一回目の輸血ではクロスマッチが必要ありません。

緊急時は犬の方が輸血しやすいと言えますね~。
ただ、血液バンクなどはありませんので(一時期あった事もあります^^;)
相手探しに時間が取られてしまうと思いますが・・

あくまで一回目は・・ですよ~。

 

 二回目だとどうしてダメ?


それはですねぇ。
人間だとよく「ハチに二回刺されるとショック死するよ!」
聞いたことがありませんか?

あれは、一回目にハチの毒が入ってきて、体が
「変なのが入ってきたから覚えておこう!」と
次の機会に備えて、軍隊を用意してしまうのです。

それで、二回目に毒が入ってくると・・・
総攻撃!!!!!!!となって、ショック死してしまう事があります。

それと同じ事が血液で起こるって事です^^;

 

 まとめ


・・と言うことで、ちょっと難しかったでしょうか(汗)
輸血にも色々とやらなきゃいけない事があるってことです^^

血が合わなかった場合でも
「信頼してたのに!!酷い!!」
なんて言わないでください~(泣)。

 

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